牡丹と薔薇 DVD-BOX 上
価格: ¥15,960
東海テレビ制作の昼ドラの真骨頂と呼ぶにふさわしい、数奇な運命に翻弄される姉妹が繰り広げる愛憎の物語。濃厚を極める中島丈博脚本作としても、同じく話題になった『真珠夫人』と違ってこちらは完全オリジナルなので、三角関係、略奪愛といった諸々のドロドロ加減の調合は抑制知らずのやりたい放題。その因果応報のはみ出しぶり、愛憎の花の咲き乱れっぷりといったら、油断も隙もあったものではない。
30年にも及ぶこのディープ・ストーリーは、一応4部構成をとっている。父・豊樹(神保悟志)の内縁の妻だった鏡子(川上麻衣子)が母・富貴子(北原佐和子)によって産み落とされた生後間もないぼたんを誘拐したことによって、姉妹による愛憎劇のすべてがお膳立てされる第1部、中学生になったぼたんと香世が偶然出会い、よんどころなく絶交に至るまでの第2部、大人になったぼたんと香世が関係性をめまぐるしく逆転させながら、驚愕の存在証明バトルを繰り広げる第3部、そして数々の浮き沈みを経て、ぼたんと香世が姉妹として一体化していくまでの第4部。ただ、おもしろすぎることが難点ともいえるデタラメと紙一重の物語、強引過ぎるまでのスピーディーな展開、不謹慎を極めるおもしろエピソードの数々、そして膨大なイジメを華麗に彩る罵倒台詞の洪水に身をゆだねてしまえば、そんなドラマの構造などはほとんど意味をなさないほどに、ドラマはデモーニッシュに滑走し続ける。(麻生結一)