最古の短編集でふと感じる。
★★★★☆
現代人と登場人物の心情を対比してみると面白い。ああ、確かに、と共感できるものもあれば、今はこうは受け取らない、といったものもある。それが古典を楽しむ簡単な方法だと思う。これは世界最古の短編集だが、他の古典同様、そうした楽しみ方ができる。たとえばこの本の中では「虫愛ずる姫君」。いわゆる変わり者の話だが、どこか現代の「変わり者」も似た心情を持っているように思える。時代は違えど、同じ列島に住む者の考え方は、どこか似ているのだなぁ、としみじみ感じるのだ。現代語訳や難解な語句には注釈もついており、古文の知識がない人でも読みやすい。文法の知識があればより深い読みができるだろう。古典に興味を持ち始めたなら、この本から始めてみるとよいだろう。