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ユダヤ人の起源 歴史はどのように創作されたのか

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 武田ランダムハウスジャパン
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「ユダヤ人の歴史」が「創られる」過程を丹念に追った傑作 ★★★★★
本書は、「ユダヤ人」「ユダヤ民族」にまつわる「真実」とされている事柄について、根本的な疑問を提起した本です。

曰く、ダビデ王やソロモン王に関する聖書の記述は、真実なのでしょうか。彼らは、「実在」したのでしょうか。
曰く、ユダヤ人がかつての住処であった「イスラエルの地」を追われ、2000年もの間世界中を放浪したという「神話」はどこまで本当なのでしょうか。
曰く、どうして、今のイスラエル歴史学は、イエメン、カスピ海沿岸に、かつてユダヤ教を国教とする王国が存在していた事実を無視したがるのでしょうか。
そして、民族としての「ユダヤ人」「ユダヤ民族」なるものは、本当に存在するのでしょうか。

著者は、最後の質問に対し、「NO」と答えます。
そして、「ユダヤ人」は、近代に入ってから作られた「神話」であると喝破します。

本書は、約460ページと分量が多く、訳文も直訳調ですし、世界史の基礎知識があることを前提にしているため、決して読みやすくはありません。
にもかかわらず、「ユダヤ人の歴史」という「真実」が創られていった過程を巡る本書の記述は、最後まで読まずにいられないと思わせる迫力に満ちています。

最近読んだ歴史の本の中では、一番の傑作でした。

私には難しかった(読みづらい) ★★★★★
466頁に2ヶ月が過ぎてしまいました。冒頭の50頁は著者の自伝であり、さっと読めた。
これは通勤電車1週間だと思ったら、
「ネイションをつくりあげる」で知らない人物名のオンパレードで閉口。
「神話=史」では思わず銀座の聖書図書館に出かけ、
「追放の発明」では世界史年表・地図を脇に置かなくてはならない。
「沈黙の地 失われた時を求めて」では地中海周辺諸国の歴史の無知に嘆き
「区別」でイスラエルの現行法を全く知らないことに気が付きました。
聖書を通読し、北アフリカから東欧の歴史を知る人には読みやすいのでしょうか。
ただ、章により訳者が変わるようでリズムが整えにくかったです。
また、誰が誰に向かって考えを述べているのかが時々分からなくなり、混乱しました。

メジャーな映画や書籍や最近では演劇でさえ、ユダヤ民族の悲劇を声高に謳うが
「ユダヤ」て、なーにと思い始め、幾つかの本を読み、本書をドンピシャと思い購入しました。

友人は私より先に読み始めていましたが、今も悪戦苦闘しています。
初版から2ヶ月で2刷発行される書籍に書評が私で二人目というのは読みにくさに原因があるのではないでしょうか。

本書の内容は人類全てに通じる普遍的命題とも言えるでしょうが
結局のところ誰がユダヤと名指し、何故ユダヤを自認するのでしょうか。
シンジケートと言う言葉を当てはめたくなります。

読みづらかったけれど放棄できない内容でした。
著者、出版社の勇気に敬意 ★★★★★
 どの国家も民族も、近代に形成された神話だが、それぞれ神話の作り方、作られ方はちがう。ユダヤ民族やイスラエルも近代の神話だという事実を、イスラエル在住のユダヤ人がヘブライ語によって書いたこと。そして、イスラエルで出版され、反論も多かったものの、ベストセラーになったこと。そのことの意味が大きい。
 聖書の時代から中世、近代において、ヨーロッパやその他地域との関係の中で、ユダヤ教をどう考えそれがどう変化してきたのか。そして、近代のユダヤ人が近代の産物である国家や民族をどのように考えたのか。また、シオニズムがどのように変質し、成長し、「真実」を作り上げていったのか。
 歴史がこの本の内容だが、その歴史の後にある現在に対して、著者は結論や主張、提案を提出せず、ただ、問いかけをして締めくくっている。
 現在イスラエルが行っているアパルトヘイト政策が正しいとは、たぶん多くのイスラエル人でさえ、思っていないのだろう。だけれども、元難民の子孫にとってはイスラエルだけが祖国である。著者は、そのような解決が困難な政治的問題のなかで、イスラエルはこれからどこへ行くのだろうか?という問いかけをしている。それはイスラエルに正気に戻れといっているようだ。
 この本が出版されたことが、パレスチナ地域の将来に向けて重要な一歩になることを願う。