西院流:四度聞書・宥快御口決
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仁和寺の法流である西院流の伝授を、高野山の大学僧である宥快が、四度次第の伝授を行った際の記録です。
高野山に限らない話ですが、真言宗の阿闍梨は様々な法流を学ぶことは、知っていて当然の教養の範囲でした。
それは本山が異なっていたとしても、全ては高祖大師の教えであるのですから、当然の成り行きでしょう。
本書は四度加行を終えた人たちが、他の法流を学ぶ時に行われた伝授録なので、西院流の四度加行の概略に留まっています。
しかし、示唆するところは多大であり、中院流や安祥寺流との作法の差異点が理解できるはずです。
例えば、中院流などの護摩では諸尊段がありますが、西院流では諸尊段の代わりに後火天段を用います。
四度加行の順番も、西院流は中院流と比べて大きく異なっています。
なぜそのような違いがあるのか、その違いは何を意味しているのかを知ることが真言密教においては肝要なのです。
本書は江戸期の写本を元にしているため、訓点などの相違がある場合があることをご了承ください。