人種偏見―太平洋戦争に見る日米摩擦の底流
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ダワーがこの『War without Mercy』を著した際の前提とは驚くべき内容である。すなわち、第二次世界大戦において西欧の連合軍が勝利を目指していたのは確かだが、太平洋を舞台にした最後の1年間は、純粋な人種差別主義によって敵意が持続したばかりかさらに増幅されたというのである。実際に、この期間には紛争勃発からの最初の5年間と同数もの犠牲者が出ている。ダワーはこの憂慮すべき結論に、確固とした根拠もなしに到達したのではない。宣伝用フィルム、報道記事、軍部の書類、宣伝用漫画、更には学術誌へ寄稿された論文までも、しらみつぶしに調査した上で本書を執筆している。著者の主張は強い説得力で迫ってくるが、西欧列強と日本政府との間の長期に及ぶ交渉など、その他の要因については最小限の言及にとどめられている。(Amazon.com)