二人の小学6年生の子供らしい、いきいきとした感じもいいし
本格としても正統派といえる作品だし・・。
一気に読んでしまいました。
こういう作品が、私の少年時代にあったらなあと
思わずにはいられない作品でした。
鄙びた虹果て村で起こった殺人事件と、高速道路建設の是非をめぐる社会問題が上手く合致して、考えさせられる物語でもあった。
ところどころに見られる遊び心もなかなか・・・。
高速道路の建設をめぐって、賛成派と反対派に分かれた村人が対立している状況。そんななかで起きた密室殺人ほかの事件を、小学生のふたりが解き明かしていく話。
有栖川さんが、本書の読者として想定しただろう子どもたち、あるいは若い読者層に向けて、社会問題に目を向けることの大切さとともに、他人への思いやりや気遣いの大切さを、さり気なく話に盛り込んでいます。大人に対するのと同じように、子どもだからといって変に手加減したり、媚びたりしない姿勢が、清々しく感じられました。
ミステリとしても、論理的な思考の働かせ方にポイントを置いて、事件の謎を解き明かしていく件りは、なかなか読みごたえがありました。事件の核心に迫る話を聞かされたある人物が、「なるほど、ロジックだ」と言う箇所では、「この台詞、本書のどこかで使ってみたかったんだろうなあ。いかにも有栖川さんらしいや」と、嬉しくなりました。