刑事事実認定のいろは
★★★★☆
司法研修所で学んでいる事を法科大学院が出来たことによって、前倒しで学習することになったのがこの「事実認定」の分野である。
刑事裁判においては、捜査―公訴―公判のいずれの段階でも「事実認定」が問題となり、極端な話それによって被告人が死刑か無罪かといった判断に関わってくる重要な事項である。
本書は入門者を対象にした教科書であるので、とても薄く読みやすく、ここから更なる本格的な学習を積む事になると思う。
かつて最高裁初代長官 三淵忠彦は「法律の一隅にうずくまっていてはならず、眼界を広くし、視野を遠くし、政治のあり方、社会の動き、世態の変遷、人心の向き様に深甚の注意を払って、これに応ずるだけの識見、力量を養わねばなりませぬ。」と話していたが、こういった心構えが根本において大切であることを忘れないでいて欲しい。