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月曜日の水玉模様 (集英社文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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加納ミステリーのベスト3。 ★★★★☆
本書は『ななつのこ』、『掌の中の小鳥』とともに加納ミステリーのベスト3の作品である。
OLの片桐陶子が探偵役、主にそのボーイフレンド(?)でリサーチ会社調査員の萩がワトソン役として身近な事件の謎を解き明かすという内容で、テキパキ優秀でスマートな陶子と、のん気というかノホホンとした萩とのやり取りが楽しい。

ただ、本書は概ね平均以上の作品が揃ってはいるものの、『ななつのこ』の「白いタンポポ」や『掌の中の小鳥』の「できない相談」のような、これぞ傑作、イチ押しという作品が本書にはなく、ミステリー作品としては少し落ちる。
また、「木曜日の迷子案内」での子供を置き去りにした母親の心情は理解はできるものの、近くでブラブラしたり昔なじみと食事やお茶を楽しんだりするなど、その行動はどうにも納得できない。置き去りにした母親の心理としては、子供の行く末が気になって陰でそっと見守るか、逆にすぐにその場から遠去かろうとするかのいずれかのはずだと思う。

しかし、全体的に「読み物」としては作者の全作品中のNo.1ではないかと思う。
『ななつのこ』の駒子は女子大生で、まだまだ世間知らずであった。だからこそ純粋に優しくいられたわけで、それが作品全体の優しさにつながっていたが、本書の陶子は社会に出てそれなりに世間にもまれ、苦い経験や辛い思いも飲み込みながらも、そうして人間として成長した分、作品全体に優しさだけでなくやるせなさせつなさを加え、深みを増している。

そんな本書の中で最も好きな作品は「火曜日の頭痛発熱」で、ただのOLと思っていた陶子が推理を披露し聞き手が唖然とする姿は、風采の上がらない金田一耕助が名探偵であると知らされた人々の驚きにも似て痛快である。また、ラストの「日曜日の雨天決行」で、登場人物たちがソフトボールの試合で一同に会するのも楽しい。
ほのぼの ★★★★★
小田急線町田から千代田線二重橋前まで通うOL陶子。誰の周りでも起こりそうな些細な事件に巻き込まれていく陶子。途中で明らかになる悲しい生い立ち。でも土曜日と日曜日で少し救われた気持ちになります。全体的に暖かいほのぼのした内容です。
ほのぼの♪ ★★★★☆
いつもの時間、いつもの電車、いつもの座席に座る「彼」の月曜日のネクタイは、
水玉模様だった。だがある日突然、水玉模様のネクタイが月曜日以外の日にも!
陶子と「彼」こと広海のまわりで起こる小さなミステリーを、曜日ごとに7編収録。

大きな事件は起こらない。日常生活の中で、ほんのちょっといつもと違うことが
起こるだけ。どれもそんな感じのするできごとばかりだ。謎解きの楽しさと、そこに
見え隠れする人たちの悲喜交々がうまくとけあって、作品全体がやわらかで温かい
ものに包まれているようだった。曜日ごとのミステリー。月曜日、火曜日、水曜日・・・。
話が進むにしたがって、陶子と広海の関係も微妙に変化していく。この二人どうなるの?
そんなことを考えながら、ほのぼのとした気持ちで本を閉じた。
小田急線ラッシュが懐かしい ★★★★☆
現実に町田〜代々木上原の殺人的な通勤を体験し、その回避のために転職までした私にとって、陶子と萩の出会いの場でもある小田急線の描写から「そうそう!わかるわかる」と読みいってしまいました。陶子が小さな会社の一般事務職という設定も、次第に明らかにされる生い立ちも、派手なエピソードではありませんが全体の柱となって、最終話までほのぼのとした予感を残してくれます。特に陶子が新幹線の中で祖母の作ったお弁当を食べながら、居合わせた女性に話しだす場面、緊迫感とまでいかないけれど、ドキドキさせられ、最も印象的です。
新しいミステリ世界を見つけた! ★★★★☆
ものすごく読みやすい文章です。

メリハリもテンポもあるんだけれど、さらさらっと流れていくようにお話は進んでいきます。

それと「えっ?」っていうくらい唐突に謎解きが出てきます。

本作はOLの日常生活を舞台にしたミステリ
(満員の通勤電車で席取したり、取引先の会社のOLの対応に憤慨したり)
なので、殺人事件は起こりません。
だから、本格物しか読んでいない私にはとても新鮮でした。

よく読み返すと、ほぼ冒頭から伏線が張られているのに気づきます。
凄い!派手さがない分、じわりときます。
いぶし銀。こういう人を天才っていうんでしょうね。

ミステリですが、心が平らかになるような一冊でした。
他の作品も読んでみようっと。

目次の頭文字を読むと・・・みたいな遊び心も隠されてます。
子憎たらしいまでの小さな演出ですね。