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漂泊の牙 (集英社文庫)

価格: ¥760
カテゴリ: 文庫
ブランド: 集英社
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オオカミものが好きな人にはたまらない ★★★★★
1999年に出版され、第19回新田次郎文学賞を受賞した山岳冒険小説。
この人の小説は、何冊か読んでいるが、やはり、初期の荒々しい自然を対象とした小説が、私は好みだ。

昔から狼好きだったので、日本に狼が生き残っていたというテーマのこの小説は、その設定から引きつけられた。

内容は、狼(?)に妻を殺された主人公(オオカミの研究家)が、その獣を東北の山奥に追うという話。雰囲気は、とても乾いていて、じっとりとした日本の冒険小説よりもイギリスの冒険小説、特に、昔よく読んだデズモンド・バグリイを思い起こさせた。

特に、印象的だったのは、主人公と主人公を殺そうとする男の最後の会話。狂気に満ちた主人公を殺そうとする男の言葉だけど、北海道を野生のオオカミのすみかにするというのは、魅かれるなぁ。もしかして、著者の本音なのかもしれない。
熊谷達也にはずれなし ★★★★☆
熊谷達也にはずれなし、そう断言しても構わないでしょう。山と動物とそれにたずさわる人間達との濃厚なドラマを描き、それが我々東北人の心をズシンと打ち抜く。そんな傑作を書き続けている作者に感謝したい。本当の人間とは、本当の生活とは、本当の愛とは、そんなことを作品毎に提示し、我々に問うているのです。都会の生活を描くのではなく、自然の中の人間を描くことで逆に現代日本を炙り出しているようにも思えます。
本書も然り。冒険小説の要素、ミステリの要素もふんだんに盛り込まれています。
そんな冒険活劇を手にして一気読みしない男は男ではありません。獣の濃厚な臭い、雪山でのイメージ、怖さ、男の色気とは、そんなことを感じさせてくれる本書は男達の教科書のような存在です。

ニホンオオカミは存在するのか? ★★★★☆
 絶滅したはずのニホンオオカミが人知れず生存していた?・・・謎の獣に次々と食い殺される人。東北の寒村は震え上がる。妻が犠牲になった孤高の動物学者城島が獣の存在に迫る。
 冬の東北の大自然を舞台にした動物冒険小説だが、警察ミステリとしても読める。いつもながら著者の重厚で読み応えのあるストーリーは圧巻。精緻な描写でストーリーにぐいぐい引き込まれていく。
結末は・・・? ★★★★☆
東北の動物、歴史、なによりも人をテーマに書き続けている作者の比較的初期の作品。
絶滅したニホンオオカミや漂泊の民サンカの歴史がからみ、起こる事件は陰惨なのですが、ミステリー仕立てなのであまり抵抗なく読めます。ミステリー仕立てなのは良いのですが、最後の結末はう〜ん。なんで最後にそこを撃つかなぁ。そこまでの盛り上げ方、サスペンス的要素が良かっただけにちょっと残念。
一気読み! ★★★★★
表紙に魅かれて買って、たいした期待もせずに読み始めたら止まらなかった。一晩で読み終えた。ミステリとしても動物文学としても面白い。民俗学的な視点では、「サンカ」と呼ばれた山の民について多く触れられていて興味深かった。

主人公は動物学者でオオカミの生態を研究している。彼の妻がオオカミと思われる獣に殺されたのをきっかけに、絶滅したと思われているニホンオオカミが生存しているのではないかという噂が流れ始め、真相を探るために彼は追跡を始める。

単なる冒険物にとどまらずに、登場人物の生い立ちや背景などをうまく絡め、謎解きも含みつつテンポよく進むストーリー。まさに一匹オオカミ的な主人公が本物のオオカミとあいまみえたとき、種を超た原始の人とオオカミの群れを思い起こしたのは私だけだろうか。秋の夜長にお勧めする一冊。