主人公は動物学者でオオカミの生態を研究している。彼の妻がオオカミと思われる獣に殺されたのをきっかけに、絶滅したと思われているニホンオオカミが生存しているのではないかという噂が流れ始め、真相を探るために彼は追跡を始める。
単なる冒険物にとどまらずに、登場人物の生い立ちや背景などをうまく絡め、謎解きも含みつつテンポよく進むストーリー。まさに一匹オオカミ的な主人公が本物のオオカミとあいまみえたとき、種を超た原始の人とオオカミの群れを思い起こしたのは私だけだろうか。秋の夜長にお勧めする一冊。