物悲しいバラードからアップ・テンポなアダルト・ポップまでを楽々とこなしながら(ただし、サンプリングを乱用したシングル曲「Freeek!」と「Shoot the Dog」は蛇足だった)、ジョージは本作で1990年の『Listen Without Prejudice, Vol. 1』の骨組みと雰囲気を再活用している。本作の中で繊細さと感動で特に際立っているのは、タイトル・トラック、タブロイド紙を激しく攻撃した「Through」、家族の思い出を悲痛につづった「My Mother Had a Brother」だ。これらとバランスを取るかのように、「Amazing」ではビージーズを思わせるサウンドが聴く者の胸をふくらませ、「Round Here」ではジョージがアンドリュー・リッジリーと共にブッシーの町を駆け回っていた若き日々を回想し、「Cars and Trains」では1998年にロサンゼルス警察から目を付けられた彼のライフスタイルが描かれる。まさに現在のジョージ・マイケルのエッセンスがここにある。こちらが好こうが嫌おうが、彼はどっしりと構えている。ファンにとっては、それが何よりうれしい。(Dominic Wills, Amazon.co.uk)
※ 日本盤はボーナス・トラック1曲収録。