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帝国の条件 自由を育む秩序の原理

価格: ¥3,675
カテゴリ: 単行本
ブランド: 弘文堂
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帝国は自生的自由を育むか? ★★★★☆
 著者はグローバリゼーションとしての帝国を肯定する。なぜなら、それこそが個人の自由な能力を全面的に開花させる自生的秩序を形成するからである。本書では、帝国の名のもとに金融と情報のグローバルな商品化さえ肯定し、個人の自由の普遍性を主張している。それはハイエクやフリードマンさらにネグリらのいうリバタリアニズムの全地球化を意味していよう。
 けれどもリバタリアン的な自由の帝国は、本当に著者の説くような「自生的秩序」であろうか?かつて著者は青木孝平の『コミュニタリアニズム』を評価し、外部的な市場が社会内の秩序になることの「無理」を承認していた。なるほど自由な帝国は一種のユートピアであろうが、かつてのコミュニズムを裏返しにした単一の理性による普遍主義ではないか。それは皮肉にも自生性とはまったく逆に設計主義と同じ根をもつディスユートピアである。
 個々人の創発性を活性化する自生的自由は、けっきょくグローバルな帝国ではなく、伝統に裏づけられ多様な共同体に支えられた厚い文化の堆積のなかにしか見出されないのではなかろうか。この点で本書は優れた反面教師である。
「帝国論」を単なるブームに終わらせない著作 ★★★★★
ネグリとハートの『帝国』以降、一時期ブームが興りましたが、あまり深められないままに沈静化した感があります。しかし、本当はまだまだ議論すべき論点はたくさんあるはずです。本書を読めば、ほとんどの帝国論の浅薄さに気づくでしょう。論争的な部分はありますが、それに賛同するにせよしないにせよ、無視することのできない著作といえます。
ネオコンを理解するために ★★★★★
シュトラウスとヒンメルファーブ。ネオコンの思想を理解するには、このふたりがネオコン第二世代のクリストルやケーガンにどれだけ影響を与えているのかを知らなくてはいけない。巷にあふれる俗流ネオリベ理解や俗流ネオコン理解の過ちをクールに正しながら、一本の筋を浮かび上がらせるスリリングな展開。この部分だけでも「買い」の一冊。
ネグリ/ハート以来最大の収穫 ★★★★★
 「もう一つの世界」を具体的なユートピアのかたちで描いた、本格的な書物です。ネグリ/ハートの「帝国」以来、最大の収穫ではないでしょうか。
 そもそもネグリ/ハートの「帝国」は、9.11テロ事件よりも前にかかれたものでしたよね。本書はしかし、9.11事件以降の世界状況の分析からはじまって、現代のグローバリズムの背後にある二つの思想、すなわち「新自由主義」と「ネオコン」を緻密に分析しています。とくに、イラク戦争の背後にある「ネオコン」のイデオロギーについては、貴重な分析でしょう。
 一般に、多くの国際関係論系の書物は、現状分析で終わってしまうのですが、本書は最後の二つの章で、世界を変革するための、かなり具体的な提案をしているところが魅力的だと思います。人類は「世界共和国」のようなものを目指すとして、そのための財源確保や、貨幣の創出を、どのように企てるのか。グローバルな正義を満たすために、どのような国際貿易のルールを構築すべきなのか。そういった問題について、世界秩序の夢を描いています。
 著者によれば、思想的にはマルクスとハイエクを融合する、ということなのですが、国際経済学の知見を駆使した、雄大なスケールの思想ですね。