知る人ぞ知る、ＧＡＬのコンプリート音源集。正直、石江理世の歌唱力にしか期待していなかったが、これがなかなかどうしてあなどれない。冒頭１曲目『薔薇とピストル』から、コーラス、ハーモニー、お色気歌唱、これらが渾然一体になって凄まじいエネルギーで聴く者を圧倒する。
　こんな素晴らしい作品を埋もれさせておいてはいけない。それはともかく、これは一生ものかも。それもともかく、イケイケ風でグイグイ勢いだけで押しまくるのではなく、『グループ』『珈琲をいれましょう』といったスローナンバーではしっとりとしたハーモニーを聴かせ、コーラスグループとしての実力も知らしめている。特にハーモニーの美しさは圧巻、絶品で、当時のアイドルグループの中では群を抜いていたのではと思わせるほど、息のあった３人のハーモニーが楽しめる。
　おまけに、唯一のアルバム『ギャルのスペース・オペラ』を、収録のシングル曲と重複するとはいえ、発売当時の曲順で収録したのは凄い！　何せこれはオペラ仕立てなので、そうしないとこのアルバム本来の面白さが味わえないからである。アルバムも、台詞を入れたり、アニメや特撮の主題歌を入れたりと構成も工夫されて、それが全く違和感なく聴けるというのも凄い、ただし、台詞のクサさはさすがにアイドルっぽさが残るが…。何はともあれ、よくぞここまでやってくれた、ホットワックス！　
　それにしても、『薔薇とピストル』、クセになりそう、というか病み付きになりそう、それぐらいインパクトがあり、素晴らしいということだ。ホントにこれは良い作品集である。ホットワックスに成り代わって私が推薦する次第である。