古典に「遊ぶこころ」を
★★★★★
本書は、高校生を対象に、古典のおもしろさを伝えるために書かれたものである。教科書には決して書かれないようなおもしろい古典の裏側や、筆者の体験で得た教訓なども書かれており、古典のイメージが変わる。読後は、「遊ぶこころ」で古典を読むという視点の必要性が感じられると思う。
学生さん向けかも
★★★☆☆
古典って受験のためにちょっとだけかじる・・・っていうところもあるでしょうが、私は学生の頃からけっこう好きでした。
そんなこともあって、何か変わったものに出会えるかな?と思って買ってみたのですが、もともと古典好きな人よりは、苦手に思っている人が読んだほうがいいような本になっています。
古典をなぜ学ぶのか、といったことにも触れてはいますが、むしろ、古典は意外とおもしろい!ってことを教えてくれるような気がします。
古典の面白さ、学ぶ意義を教わりました 学生時代に出合いたかった本です
★★★★★
著者である上野 誠氏は、財団法人奈良県万葉文化振興財団万葉古代学研究所副所長さんです。歴史学や考古学、民俗学を取り入れた万葉研究で、学会に新風を送っておられる方なのだそうです。本書は、著者が高校で行った出前授業の手控えをもとにまとめられたものです。十代の読者を想定し、語りかけるような分かりやすい文体で書かれています。古典の面白さや古典から何を学ぶかについて、青春小説風に説いています。
本文中には、古典の原文は出てきません。著者の意訳があるだけです。原文や書き下し文はこの本の巻末にまとめて掲載されていますから、本文を読み終えた後、興味のある古典だけ原文でも読むことができます。原文を読み返しながら、著者の書いた訳文と対照することによって、「あぁ、これはこういう意味だったなあ」とか、「えーと、この古語の意味はどうだったっけ?」と、読み返しの楽しみもあります。
第三章では、「洗濯」という視点からいろいろな古典が登場します。「古事記」、「風土記」、「今昔物語」、「万葉集」に「伊勢物語」。高校時代に古語辞典とにらめっこしながら読ませられた難解な古典がいつの間にかとても身近に感じられ、面白く思えてくるのです。
第四章では、歌舞伎十八番の第一「鳴神」が語られます。本文で「わたくしの口からは、恥ずかしくて、話せません。「引用古典と言及した文献の一覧」の149頁を読んでください。」と著者が明言を避けるる言い回しがあるためかえって、原点を読まずにいられなくなってしまいます。
本書を読んでも、「間違っても、古文の読解力が向上するというようなことは」ないかもしれません。しかし、古典を読む楽しさや古典を学ぶ意義や意味を教えてもらいました。