目吉センセー今回は苦戦ですね・・・
★★★★☆
相変わらず読み終わった後が、殺伐としていず、ほんのりしんみり暖かい。とはいうものの、殺人事件の様相は今までになく、グロテスクでスプラッター映画のよう。あまり映像を思い浮かべないことをお勧めします。殺人の理由も単なる猟奇事件の域を出ておらず、加害者に前作までのような人間味や悲哀が感じられませんが、目吉センセーへの妙な親近感を感じさせる言動で救われる感じでしょうか。
最初は好きになれなかった怜の父親真司も、目吉センセーとの見かけ親子のでこぼこコンビも板についてきて、怜だけでなく目吉を庇おうとする様がジンときます。
お医者さんの漫才コンビは、ちくちく松室先生をいびる戸崎先生、好きですねえ。この二人が出てくると雰囲気が明るくなって、他の登場人物同様ほっとします。
途中から犯人も検討がついてくるけど、登場人物達が事件が進むたびに色々な推理をして真相の方向を散らしてくれるので、一人犯人像を確信している目吉センセーの気分に迫れました。でも、犯人が検討ついちゃうって方が性格歪んでるなあとラストに近づくにつれ、何だか複雑な心境に陥りました。
華麗さと凄惨さを表すような表紙が素敵です。
目吉のセンセー、久しぶりの大活躍
★★★★☆
少女の中に甦った江戸時代の人形師 泉目吉。この目吉のセンセーとその周りの人々が巻き込まれる事件を描く、久しぶりのシリーズ作。待ち遠しかったです。
久方ぶりに会った目吉のセンセーは、宿り主の少女、怜との交換も、周囲の人々との関係もスムーズにいっているようで、まずは一安心。それにしても、目吉のセンセーが起きているときは、8歳の少女が男のダミ声、しかも江戸弁で話し、ときにはタバコも吸うって、よくよく考えてみるとかなり不気味でグロテスクですよね。まあ、それはさておき、その鋭い観察眼とあくなき好奇心のおかげで見世物のお化け屋敷の中で、首と胴体が切り離され、内臓を掻き出された無残な死体を発見してしまう目吉のセンセー、そこから巻き込まれる連続殺人事件、センセーの推理はいかに?といった内容。ホラー色の強かった前作までと比べて、サイコミステリっぽい感じに仕上がっています。
果たして自分が少女の中に生きていていいのか疑問を持つようになった目吉のセンセーの今後がどうなっていくのか、とても楽しみです。ただ、前作までは濃厚に漂っていた江戸の香りが本作ではあまり感じられなくなっていたのがとても残念。そのあたりのことも考えて、次作はもっと早く読ませてほしいものです。
名探偵・目吉センセー
★★★★☆
待ちに待ったシリーズ続編!
ホラーでゾクッと怖いのですが、それでいてラストは暖かい気持ちになれる稀有な作品。
やはり登場人物の魅力につきます。
前作「闇から覗く顔」とは違い長編です。不可解な連続殺人、その犯人の正体には驚愕しました!
ただ、今回は折り紙やお化け蝋燭のように”江戸”をモチーフにしていない点がちょっぴり残念です。
待ってました!目吉センセー
★★★★☆
古書店店主・恒一郎の姪、怜はふつうの少女ではなかった。彼女の中には、江戸時代の天才人形師「泉目吉」の魂が同居していたのである!久々の「ドールズ」シリーズ新作の本書では、血も凍る連続猟奇殺人が起こり、遺体の発見者となった主人公たちの身辺にも危険が…目吉センセーの推理のお手並みやいかに!?
真犯人(と、その正体)は早くから予想がついてしまうのだが、目吉センセーと彼をこよなく愛する人々の交流が心にしみいり、作中世界にどっぷりと浸かってしまうくらい居心地のよい本である。小さく収束したのがやや残念だったが、目吉という得難いキャラクターの魅力があふれ、次回作も楽しみになるのであった。
待っていたのに・・・
★★☆☆☆
泉目吉シリーズ、大好きです。ホント、この3作目が出るのを首を長くして待ってたんです。手にしたとたん、一気に読破しました。読み終わって思った事は、「この作品がシリーズ1作目だったら、2作目以降を期待しなかっただろうな」です。前作、前々作ともに、現代に転生した江戸の人形師、泉目吉がその知識やすばらしい「腕前」を見せてくれたのに、今作は「謎解きするのは泉目吉じゃなくてもいいんじゃ?」と思ってしまうほど、「職人目吉」を感じなかったです。この作品が目吉シリーズではなく、単独で出ていたら「面白かった」と思えるけど、職人目吉ファンとしては「待たせておいてそれはない」です。高橋先生、私は4作目に期待します。