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Invisible Monsters

価格: ¥1,550
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: W W Norton & Co Inc
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悪夢 ★★★★☆
 割とドライな文章で壮絶な事件の、物語の終焉の、淡々とした描写から始まるこの小説は、ありとあらゆる共感や感情移入を排して、思いつくまま気の向くまま、扇情的な言葉のマシンガンをめくら滅法に撃ちまくってるようにしか見えない。
 見えないのに、最後まで辿りついてみたら、すべてのバラバラのジグゾーが、裏返って別の絵が浮かび上がるという寸法。無駄なところだらけに見えて無駄なところが何一つない、とんでもない芸のある小説。
 気まぐれさと緻密さが、冒頭の凄惨な光景に向かって砂時計のくびれに落ちていく砂のように絡み合い融合しあって、終盤のあまりの悪夢っぷりに、これが感情移入が許された筆致で書かれたらとても辛くて読めないと思いました。
 悪趣味なエンタティメントとして考えうる限りベストな手法をとって書かれている、と思いました。
快感文章群 ★★★★★
 広告やら特集やらが入り乱れるファッション雑誌に影響を受けたという(ほんまかいな)構成は、時系列を細かくばらして再構成されている。その派手さに「よくわからない。読みにくい」という意見も聞くが、私はそれがたまらない。
 別にテキトーにシャッフルしたわけじゃない。より鮮やかに、よりスリリングにするための技巧だ。

 言葉のキレが凄い。凄まじい。絶妙のタイミングで、意表をつく一文や単語が挿入される。乾いた皮肉なジョークを登場人物が話す。快感。脳が感覚として快感を感じている気がする。

 そこに出てくるのはやはり異様な人物ばかりだが、それぞれが妙に説得力のある言葉を持っている。極端な思想や過剰な皮肉も、語られ方によっては十分な魅力をもって浮き上がる。
 その語られ方とはすなわち、言葉の選び方とそのタイミングに他ならず、著者のそれはすくなくとも私の脳に空いた穴にきちんとフィットする。その穴は変な形をしている。

 思想は「ファイト・クラブ」と同じ。そりゃそうだ。この処女作の昇華したものがあの映画化原作なんだから。しかし全く違う話。どっちが上かなんてナンセンスだ。
愉楽 ★★★★★
物語に置いて行かれまいとして、必死でばら撒かれた断片をを拾い集めているうちに眩暈に似た感覚に襲われます。
読む快感を味わうことのできる極上の一冊。
ぐちゃぐちゃ ★★★☆☆
この人おかしいよ!パラニューク!(注:決して悪い意味ではない)
暗ーい雰囲気といい、変態じみた登場人物といい、あっちに飛びこっちに戻りのストーリー展開といい、「わけわかんない」。

パラニュークの描く世界では体と心は必ずしも一致していない。途中、展開がほんとにぐちゃぐちゃなので物語を見失いそうになるが、あきらめてはいけない。ファイトクラブでも最後のどんでん返しにはおどろいたが、これも(ファイトクラブの「えーっ!」には劣るけど)「そうだったのー?!」という具合にだんだんわかってくるのでご安心を。後味は決してよくはないが、不思議と新作が出れば読んでしまう。彼のほかの作品と比べると最高ではないので星三つ。オルタナティヴまたは悪趣味といった言葉に心動かされ!る人にはおすすめ。

カッコイイ。 ★★★★☆
 多少、粗さがありますが、勢いのある魅力的なストーリー。粗さがあるからこそ、勢いもあるというべきかもしれません。

 魅惑的で、謎の多い登場人物たち。複雑に絡み合う人間関係。
 めまぐるしいストーリー展開にぐいぐい引っ張られる感覚。

 時間の中を行ったり来たりする不思議な文章の中に、心に刻み込まれるような言葉の断片がたくさん散りばめられています。

 カッコイイ小説です。