買いです。
★★★★☆
ロッジらしい仕掛けとウィットに富んだ作品です。スパイス的にラミッジという地名が随所に用いられるのも、ロッジの愛読者には嬉しいところ。ただ、「巡礼」なるものにまつわる知識が皆無なので、最後の、おそらくは描かれているであろうスケール感のようなものに反応できていないのではないかというもどかしさが残ったように思います。ところで、ロッジの作品は、扱う題材や主人公といい、強迫観念のように性的なものから離れられないところといい、70年代後半から90年代前半のウディ・アレンの作品と共通していることが多いので、両者のファンは相互に楽しめること請け合いです。
純粋に楽しめてうれしくなる本
★★★★★
冒頭からどんどん虜になる。凝った作りの作品ながら、そんなことはあまり考える必要もない。そういうことは文芸評論家に任せて、私たちはただ楽しみ、笑い、考えるのだ。夫婦のあり方、友達。生きるってなに? でも、そんな重大な問いだって私たちはなんとか適当に乗り切って生きるのだ。後半の意外な展開になおも付き合うと、最後にはさらに予想とはやや違う結末も待っている。最高のシェフによる最高の晩餐を楽しむのと同等の楽しみを得ることができる。
最高に楽しく夢中になる大人の話
★★★★★
すぐに引き込まれる。そして作者に振り回される。そして笑ってしまう。だが、それはある面で自分を映す鏡でもある。私も膝が時々痛い。趣向の凝らし方、表現力の豊かさ、リズム、そして最後の章のうならせ方など、どこを取ってもみごとな作品である。三谷幸喜を思い浮かべたりもするが、このドライブ感は三谷にはない(映像や舞台にはあるだろうが、文章にはない)。筒井康隆的な側面もあるか。しかしリリカル。このリリカルな面は、最近の筒井にはあまりない。壊滅的なストーリーなのに、心がなごむ。いい作品。