インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

シリコンバレーから将棋を観る―羽生善治と現代

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論新社
Amazon.co.jpで確認
良質のスポーツライティングを読んでいるようです ★★★★★
『ウェブ進化論』の著者が、好きな将棋について思う存分、思いの丈を語った本。彼の将棋への情熱がありのままにさらけ出されていて、彼の得意のシリコンバレーの話よりも好感が持てる。

もちろん、彼の中では、Googleについて書くのも羽生善治について書くのも一緒で、そういった記述は随所に見られるが、別にこれからのITの進歩がもたらす、知の発展と将棋の発展をアナロジーとして書かなくてもいいと思う。
むしろ、純粋に将棋の奥深さを豊富な知識と情熱を以て書かれた彼の文章を楽しみたい。
羽生善治を始め、第一線で活躍する棋士たちの戦いを、一手一手の解説よりもその背景にある思想や棋士たちの思いを書いた観戦記は、第一級のスポーツライティングだと思う。
日本では、山際淳司亡き後、残念ながら、スポーツライティングのすばらしさを伝える作家が見当たらないが、梅田氏の文章は山際氏や、ロジャー・エンジェルの書いた文章を思い起こさせる素晴らしい文章だった。

ほとんど指せない自分も指したくなるぐらいの臨場感あふれるものだ。

昔、将棋が好きだった人に読んでほしい1冊 ★★★★☆
この本を読んで少し「将棋ファン」です、と語れるようになりました。筆者が書かれているように、将棋の世界は実戦に強い人でないとなかなか「将棋を趣味としています」とは言えないものでした。私も20代の頃、複数のルートで日本将棋連盟から参段を認定してもらいましたが、それ以来ずっと実戦経験がなく最近では将棋が好きです、とはなかなかいえない状況でした。

筆者のように、さほど強くなくても、リアルタイムの観戦記を書いていることを知り、このような将棋の楽しみ方もあるのだ、と思ったものです。
データベースに、ある程度事前にいろいろな情報を詰め込み、観戦に臨むという心構えがいいですね。佐藤康光棋聖と挑戦者の羽生名人との対戦記などはアマチュアとは思えない観点から、この棋戦を取り上げています。

私も長く、「将棋世界」や「近代将棋」「将棋マガジン」「将棋ジャーナル」など、数多の将棋の雑誌を読んできたので、金子金五郎九段の名前は見知っていますが、このような視点で連載されていたのは知りませんでした。将棋好きの方にもよく知られていない昔の棋士に着目したあたりに筆者の非凡さが現れています。

ネット将棋の時代です。スポーツ観戦同様、リアルタイムで各棋戦の観戦記が届けば、潜在的な将棋ファンの裾野の拡大につながることでしょう。普及の観点からも筆者の試みを日本将棋連盟はしっかりとバックアップすべきだと思いました。
第7章の対談 羽生善治×梅田望夫は、話題が膨らみ、含蓄のある考えを得られました。

あとがきに、羽生が升田将棋について評価している部分も興味を惹きました。まさしく30年前に将棋の現代性を予感したような棋譜だったのですね。
ビジョナリー「ハブ」の時代 ★★★★★
著者はシリコンバレーに住処を持ち、ビジョナリーの視点とビジネスの実践を
先端で行っている人物ですが、IT、ウェブ、双方向性と将棋という室内遊戯の
親和性を見事に表現してくれています。将棋好きで且つITフリークのレビュワー
には、あまりにも濃すぎる一冊。

考えるに、羽生が将棋界第一人者の地位を維持し続けて来たこの20年は日本
ではバブル崩壊後の「失われた20年」でした。一時ITバブルがあったり、
それが弾けて株が底値を記録したり、という経緯はあったものの、大きくは
低成長の時代です。一方、インターネットの爆発的な普及と「圧倒的な量が
質に転化する」というGoogleの思想を体現したような存在が羽生善治であり、
そんな稀有な天才が、日本の将棋界というやや閉鎖的な世界に突如現れた
ことが歴史的に見て一体何を意味するのか?

未来ビジョン的にも、又一将棋ファンとしても、今後の著者の言説から目が
離せなくなりそうです。「指さない将棋ファン」も、ネット将棋などでアマ
チュア将棋を時々観戦してくれたらな、というのが一ネット将棋愛好家と
してのささやかな希望です。
興味深いが。。 ★★★☆☆
ITと将棋の接点。すぐ思いつくのがPCでの棋譜データベース、ネットでの対戦等々であるが、ITが将棋の世界に与えた影響は思ったよりさらっと触れられる程度でそこを知りたいと思った読者には物足りなさが残る。

「高速道路を走りきった先の大渋滞」とは非常に面白い表現で実情を的確に表しているが、これは将棋の世界に限らず、どの分野にとっても言えることであろう。
知のオープン化 ★★★☆☆
梅田氏の言われる「知のオープン化と将棋界が社会全体でいずれ起きることを先取りした実験」
というコンセプトが面白い。
インターネットの普及により、知識ということに関してはどの分野でもある程度短時間でプロ
の域と同レベルに到達できる環境圏にあるといえる。

渡辺の竜王戦に於ける3連敗後の4連勝、深浦の王位防衛、勝負の世界の面白さが伝わってくる。
私個人も20年以上将棋を指していないが、なるほど、将棋は観ても楽しめるものである。