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七十五羽の烏 ―都筑道夫コレクション<本格推理篇> (光文社文庫)

価格: ¥840
カテゴリ: 文庫
ブランド: 光文社
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本格推理を集めたお得な一冊 ★★★★★
表題の「七十五羽の鳥」は、謎を解くすべてのカギは読者に提供されるという「本格推理」の形を取っている。
物語は物部太郎というものぐさ太郎の祖先だという男が、父親に「一年だけ働け」との命令を受け、「客のこなさそうな」サイキック・ディティクティブの事務所を構えるところから始まる。物部太郎はこの事務所で、十分にぐうたらして過ごしていたが、そこに瀧夜叉姫の呪いに関する事件が持ち込まれ、ものぐさな太郎は事件に巻き込まれていく。
事件の最中でも、そこから逃げ出すことを第一に考えているという奇妙な「探偵」役を主人公にした本格ものとなっている。

また、この「七十五羽の鳥」には、不思議な事件が大好きだという日本語が片言の外国人キリオン・スレイを探偵役とした短編、退役した刑事が現職にある息子を通じて知った事件を解決する安楽椅子探偵形式の「退職刑事」、そしておなじみ「なめくじ長屋捕物さわぎ」シリーズの2編が収録されている非常にお得な一冊だ。
いずれも都筑さんのミステリらしく、どんなに謎に満ちた事件でも、論理的に説明ができるという素晴らしい作りになっている。最後には、都筑さんがこの「七十五羽の鳥」を執筆するにあたって気をつけたことなどを記したエッセイもあり、非常に考え抜かれたストーリーであるということを再確認することができる。
「論理のアクロバット」の実践作 ★★★★★
著者が評論集『黄色い部屋はいかに改装されたか?』において
標榜した、論理のアクロバットと名探偵の復活の実践を試みた作品。


なんといっても特徴的なのは、各章の冒頭に四行にわたる
小見出しをつけ、ヒントや伏線の所在を明確にしているところです。

のちに倉知淳氏が『星降り山荘の殺人』において、この趣向を取り入れてますが、
ミステリにおける完全なフェアプレイにこだわる著者が必然的に編み出した形式といえるでしょう。


また、本作において著者は、極力メロドラマを排したかったと述べていますが、
登場する人物自体はみな、魅力的です。

探偵をやる気がない探偵である物部太郎をはじめ、その助手で実務能力に長けた片岡直次郎、
そして依頼人であり、清楚で凛としたヒロイン・早苗など、それぞれしっかりとキャラクターが
構築されており、十分「キャラ読み」にも耐えますw

ちなみに、前述の3人の人物をモデルにしたと思しきミステリを米澤穂信氏が
〈古典部〉シリーズとして書いているので、読み比べてみるのも一興かと思います。


内容に関しては、意外性も十分な犯人の哀切な動機に胸をうたれました。

現実にはあり得ない特異な動機とも思うのですが、それまでの
犯人の描写から、しぜんと説得させられてしまうのです。
やはりこれは・・・ ★★★★★
都筑先生のファンならば絶対「買い」です。やはり推理ものが先生の本分という気がします。まして未収録作品まで載っているのですから、これは外せないでしょう。もしはじめて出会う、という方なら”あーなんてうらやましい”という気分です。ぜひ呼んでください。