良かったです!
★★★★☆
一番好きな作家、小池真理子さんの新刊です。
自殺した元不倫相手をパーティーで見た40代半ばの女を描く表題作ほか、「リリー・マルレーン」「風」「二匹の子鬼」
「小曲」「モッキンバードの夜」「猫別れ」「父の手、父の声」の8篇から成る短編集。
最近の小池作品を読んで一番強く感じるのは、読み始めたらたちまち異空間にいる様な錯覚に囚われる事です。
日常からたちまち別の世界にポンと投げ込まれた様な、色合いも空気感も別な次元にいる様な不思議な感覚になります。
どの作品も洗練された無駄の無い言葉で丁寧に叙情豊かに描かれていました。
最後の2篇「猫別れ」「父の手、父の声」は切なくて余韻が残る作品になっています。
やはり上手い。
★★★★☆
8編からなる短編集です。
どの作品も短いのですが、何とも言えない余韻が残りました。
”乾いた都会にぱらぱらと雨が降った”そんな印象です。
8人の主人公達はみな刹那的で、孤独です。
ただ、人生にはそんなスパイスも必要かなと思えるように、
今を楽しんでいるのが分かりました。
若者ではなく、ある程度の年を重ねた人たちに、
より理解できる内容ではないかと思いました。
特に「風」という作品は、理想的な死の形というか、
女としてあこがれる内容でした。
そして「猫別れ」は、胸に迫りました。
女性ならばどのお話にも共感できると思います。
幻想的な作品集
★★★★☆
家族、夫婦、不倫、愛する人の喪失、友情などをテーマにした短編集です。
「猫別れ」という作品では、涙ぐんでしまいました。
都会をテーマにした切ない作品が多いですね。
全体的に暗い印象ですが、それでも読んでいてなんだか心地よいのが小池真理子ならでは。
ただ、パンチがきいた作品はあまりなかったかな。