第一部は、破天荒な性的人生を実践している人、もしくは実践するはめになった人、かつて体験して今や悟りの境地の人たちが登場する抱腹絶倒の爆笑対談集。こういう人生もあるんだと、小市民はあきれ感心し、ついにはセコイことにくよくよする自分を哂うことになる。
第二部は、古典文学から少女漫画にアニメやエイズ教育など、日本の性の文化、性的表現などの諸相が語られる。最高に面白いのが、人類学者が説く人類の進化と性の関係。なんで人類が2本足で歩くようになったのか?女とガキに食い物運ぶためって・・・ほんと?!
第三部は、かまびすかしいジェンダー論争を多彩な角度から斬って行く。哲学者の野口勝三さんとの対談は、必読だ。ジェンダー研究の明解な整理になっている。
第四部の対談の視座は、性的マイノリティだけではなく、在日韓国人や被差別部落や美醜差別へと広がる。対談読んでいると、差別されているものどうしだからといって、他の被差別集団に同情的でも共感的でもないってことがわかる。フェミニストがけっこう、被差別男性から苛められてます・・・やっぱりね・・苛められている奴って余裕がないのよね。
これだけ多岐にわたる切り口で性を考えていくのは、すごい力業。一読して損は全くないし、質量ともに実に読み応えある一冊です。