「ねじの回転」は拍子抜け
★★★☆☆
怪奇小説の古典「ねじの回転」。風評で期待が大きすぎたせいか、読後、拍子抜けした。
発表当時からいつの時代までかは、読者に相当のショックを与えたに違いないが、今から見ると「古い」と言うしかないのでは…。
何より、読者はヴィクトリア朝風の道徳観を持っていなければならない。身分違いの若い男女が通じていた=地獄に落ちるほどのアンモラルだと感じなければ、この作品全体の意味がないのではないか。または、子どもはこうであるべきという狭いカテゴリからはずれただけで悪魔に魅入られたと感じるような価値観の持ち主でないと。
こうした当時の価値観については、併録の「デイジー・ミラー」(これは普通の悲恋もの)で詳細に描写されている。この2編をこの順番で持ってきたのは、なかなかよく考えられていると思った。
幕切れだけはさすが古典の見事さだが、特に目新しさはないと感じた。だけど、タイトルは謎めいていて、良題だと思う。