いまや日本人の死因の30%ががんである。あなたは余命3ヵ月、と突然に告知されるのは他人事ではない。その時、残り時間をどう有意義に過ごし、人生をハッピーに締めくくれるか。本書は終末期医療を考えるいい機会を与えてくれる。
著者の内藤いづみさんは、山梨県甲府市を舞台に医療活動を続ける在宅ホスピス医。本書には末期がんの患者たちが、自宅で愛する家族に囲まれ、いのちの輝きをみせて最期の時をまっとうする姿が描かれている。モルヒネの正しい処方でがんの痛みが消えれば、患者は笑顔を取り戻せると著者は書く。激痛に苦しみぬいていた45歳の女性は、街の喫茶店でショートケーキを味わえるまでに回復し、その嬉しさを著者に携帯電話で伝えた。44歳の母親は台所で娘のお弁当のおにぎりを弱る手で握り、80歳の男性は春に孫たちを喜ばせたいと、死の直前に庭にチューリップの球根を植えた。かつて日本の終末期医療のあり方に失望した著者は、夫の国であり、ホスピス発祥の地であるイギリスに渡りホスピスの立ち上げに参加した。イギリスの末期がん患者たちの笑顔が今日の活動の原動力となっている。
現代医療はめざましい進歩を遂げたが、人間的な温かさを失い営利に走りがちだ。著者が往診できる患者の数は多くて3人。患者の心身の苦しみにしっかりと向き合い、気さくに家族を支える医師の存在を知ることで、医療とはこういうものだったのだと再認識させられる。(藤原瑠美)
残念!
★★★☆☆
他の方の良い評価が付いていますので、きっと自分の読み込む力が足りないのだと思いますが、私にはとても読みにくい本でした。
マイケル・J・フォックスの自伝が読みたい気持ちは強かったのですが・・・。
直訳のせいなのかどうなのかは、原文を読んでいないのでわかりませんが、もうかれこれ1ヶ月、読みかけては休み・・・の状態で、結局のところ、肝心なことが全く記憶に残らないのです。残念です。
スクリーンのマイケルそのままの人柄
★★★★☆
前作『ラッキーマン』からはや10年。マイケル・J・フォックスはどう生きてきたのかが気になり手に取ってみた。パーキンソン病との闘いも長いが、新たに増えた家族も含め、こんなに明るく、スクリーンで演じた役柄そのままに生きていて、本当にホッとした。
マイケルは、ただ病気と闘っていただけでなく、自分の名前を冠した財団を作っている。きっかけは、クリストファー・リーヴや、モハメド・アリたちや、政治家(人によっては口だけの人もいるようだった)との交流(もともと政治にはかなり興味を持っていたという著者)などを通して何か自分にできることはないか模索したからだ。他にもロビン・ウイリアムズも登場するが、この人もスクリーンそのままの感じで熱い(暑苦しい?)。また奥さんである、トレイシー・ポランの献身も素晴らしい。
今では大学生となった息子のサムをはじめ、双子の娘、新たに生まれた娘の写真を見ると、みな2人にそっくりだ。また今回、トレイシーの出自にも触れていて、ユダヤ系の文化も大切にしつつ(著者本人は改宗していないが)、子どもには選択の自由を残しているという。くじけない、あきらめない、くさらない、マイケルなら奇跡を起こしてくれそうな気がする。本当に強いヒーローを久々に見た気がした。
泣けてくる
★★★★★
前著ラッキー・マン刊行後の彼の俳優として、パーキンソン病患者として、活動家として、夫・父親としての想いがよく伝わってきた一冊。俳優として主にドラマで彼のファンな私はスピンシティの撮影中にもこんなに苦しんでいたとは知らず泣きそうになった。911のエピソードは家族想いの一面を垣間見た気がする。病気と向き合い日々生活するのは誰だって恐いはずだ。でもその気持ちをこうしてユーモアで一部包み込みながらマイナス面ばかりを捉える書き方ではないのが読みやすいし何はともあれ愛すべき家族のサポートもあっての事だろう。彼は本当にラッキーマンだ。色んな意味で。最近の映像を見ると症状がひどい時もあるみたいで涙が出てくるが、久々にバンクーバー五輪閉会式に出ていた所を見ると元気そうでもあり、いかに病気と付き合いながら生きていくのが大変なのか思い知らされる。私はこれからも彼を応援し続けるだろう。