手塚さんは意外に時代物を描いていないんですよね。「陽だまりの樹」という大作がありますが、あれはまあ特別。短編で「おけさのひょうろく」とか「最上殿始末」(だっけ?)などの名作がありますが、長編では「どろろ」くらいしかない。彼の時代物は大味でいまいちですが、時々どっぷりと堪能したくなる。そういうとき「火の鳥」はいいですね。ボリュームありつつ割とコンパクトだし。
本作は時代が壬申の乱だったり、産土神と渡来神(仏教)の対決という見方とか新しいんですけど、なんか滑ってる感触もある。うーん、大味。でも最終的には面白いですよ。独特のドライなタッチの日本の風景もいい感じ。好きです。
畏ろしいことは、未来パートの舞台が2001年だということです。
私はこれを読んで、9.11を思い出さずにはいられませんでした。
正義って、一体なんでしょう?
人類は、これからもずっと思想による戦争をおこすのでしょうか?
だまって指をくわえているしか、ないのでしょうか?
私はまだ、答えがでていません。
鳳凰編と合わせて読むと、良いかもしれません。オススメです。