高橋真梨子のレコード・デビュー34年の軌跡をたどる、リクエスト名曲集ライヴ盤
★★★★☆
この年、新作アルバムの発売がなかった高橋真梨子の2007年コンサート・ツアー・ライヴ盤は、全22曲中、15曲がファンのリクエスト上位50曲以内の曲、2曲が名曲のカヴァー、新曲は「コバルトの海」のみという構成になっている。
これは、どの歌手のアルバムにもいえることなのだが、一つのアルバムの中に、将来にわたって歌い続けられていくような名曲は、通常は、一つか二つ、あるかないかだろう。そういった意味で、私の場合は、彼女のライヴ盤の中でも、新作アルバムの曲を中心としたものよりは、海外3公演盤、「フレンズまつり at 武道館」、「戯れの季節を残して」や、この「優美彩唱」のような、名曲にどっぷりと浸かれるものの方がありがたい。
ただ、少し残念だったのが、「あなたの空を翔びたい」と「はがゆい唇」が、ワン・コーラスだけのメドレーとなっていることであり、名曲中の名曲だけに、やはり、フル・コーラスで聴かせてほしかった。また、こうしたリクエスト投票の常として、どうしても昔の名曲よりは、現在の曲に投票が集中するのはやむを得ないところなのだろうが、昔からの彼女のファンとしては、このDVDの曲目リストを見て、「彼女には、もっと良い曲が一杯あるのに…」という思いがあったのは事実だ。その一方で、初期の曲から、地味な「OLD TIME JAZZ」が第21位に選ばれているのには、本当に驚いた。彼女の曲を本当によく知っている、渋いファンも多いということなのだろう。
ところで、5月8日に、高橋真梨子ファンにとって、非常に嬉しいニュースが舞い込んできた。今年、デビュー35周年を迎える彼女の15年振りのカーネギー・ホール公演が、10月31日に実現することになったというのだ。彼女には、体調を万全に整えて、ぜひ、今回の公演も成功させてほしいし、前回同様、DVDの発売はもちろん、NHKでのライヴの放送実現にも期待したい。