隣のリッチマン [DVD]
価格: ¥4,104
『隣のリッチマン』はユーモアのある映画だが、アハハと笑えるタッチではなく奇妙なおかしさなので、楽しめるかどうかは個人の好みにかかってくる。ニック(ジャック・ブラック)は、犬のふんを消すスプレーを発明し(社会にとってはありがたいことではないか!)、一夜にして大富豪になるが、ニックの友人で同僚、隣人でもあるティム(ベン・スティラー)は、嫉妬で爆発寸前になり大混乱に陥ってしまう。ティムはニックのもうけ話には乗らず、50パーセントの出資も断っていたからだ。
ドタバタのコメディになりがちなのにいっぷう変わった筋書きになっているのは、話の設定をしっかり組み立てたうえで、いちばんおもしろくなりそうな展開をわざと避けて、弓矢や死んだ馬、隣人に嫌がらせする楽しみをティムに伝授する変わり者の路上生活者(クリストファー・ウォーケンが安定した演技力をみせ、緊張をやわらげるコミカルな役を演じている)といった「わき筋」を前面に出しているからだ。とはいうものの本作品は全編を通じて、コメディとしての独自の存在意義を見出すのに苦戦している。ブラックとスティラーはあまり笑顔をみせない(それぞれの妻を演じているレイチェル・ワイズとTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」のエイミー・ポーラーも同様である)。バリー・レビンソン監督は、道徳劇と労働者階級の茶番劇のあいだに、ありきたりではないうまいやり方でバランスを取る方法をけんめいに探しているが、うまくいっていない。(Jeff Shannon, Amazon.com)