読むべきか読まざるべきか
★★★★☆
知られざるエピソード満載なので、クラッシュのファン垂涎の書! と言いたいところですが、そういう軽い気持ちの向きが読むにはあまりに重たい(物理的にもね)本です。
ジョーの波乱万丈の人生をたどっているのみならず、彼の複雑な内面も赤裸々に語られています。
我々の人生にまで大きく影響を与えた彼の作品や言動から浮かび上がる、神格化されたジョー・ストラマー像とは裏腹に、プライベートでのジョーは、ひどく自己中心的で、気難しく、どうしようもない女たらしで、つらいめにあった人は数知れず。
でもそんなジョーをみんな愛していた・・・
そして、そんなこと全てひっくるめていい方向に収束し、晩年のジョーは最高の時を迎えていたんです。
メスカレロスから我々を本当にしびれさせる感動的な作品がどんどん出てくるはずだった。
なのに・・・
ジョーがそんなややこしい人だったと知ってしまった戸惑いも感じながら、読後は彼を失ってしまった喪失感でいっぱいになりました。
1ページ2段組みで650ページ超のこの本、読むには覚悟がいります。
でも、ジョーの全てを受け容れることができるなら、是非読んでほしい。
ジョー、俺はアンタのことを知って、人生変わっちまったよ…。
★★★★★
へー。学生時代にユーライア・ヒープのモノマネしてたんだ。墓堀のバイトしてて、小柄だからって実際には、穴掘ってなかったんだ。ソロのファーストは全世界で7000枚しか売れなかったんだ。などなど、ジョー・ストラマーファンにとって、どうでも良いネタを提供してくれる良書だと思います。やたら、登場人物が多いので頭が混乱しますが、それも彼の交友関係が広かったということで、面白いっす。
内容とは別にしても、ページ数の割りに価格も抑え気味だし。
書籍は一般的にCDやDVDよりも部数も絶対的に少なく、すぐに絶版になるし再発されることも稀なので、興味がある方は早めに買ったほうが良いと思います。それに、この本買う人は、相当なファンだと思うので、古書店にならぶ事も少ないしでしょう。
濃い内容
★★★★★
いかにも翻訳調といった感じの文章でリズム感に欠けるが、
クラッシュファンや初期パンクファンなら、刈って損はない内容。
単純なジョーストラマー礼賛になっておらず、
読み応えがある。
ただ、ちょっと誤植が目立つのは残念。
矛盾の塊/自己との闘争
★★★★★
R.I.Punk, Joe
あんたは、矛盾の塊だ。
でも、矛盾を抱えているのは、それは世間の大方の奴等と一緒だ。世間の奴等と違って、あんたはそれを誤魔化さなかった。誤魔化す方法を知らなかったのかもしれない。でも、だから愛されたんだよ、きっと。
x x x x
やっと読み終わった660ページ。
本の帯に「ジョー・ストラマー」全闘争史。
ジョーの友達だった著者が描きたかったのは、多分、クラッシュ以降のジョーみたいだ。ジョー自身は「荒野の時代」と呼んでいたらしい。8年間走り続けた後、亡きクラッシュを背負った14年間。世界と自己の黄昏に長い影を落とす14年。これがジョーにとっての「闘争」だった気がする。自己との闘争。
自分が人に与えてきたものが自分に返ってくる。支えられながら、ぼろぼろになりつつ、自分に勝利するジョー。
が、メスカレロス名義で最後のアルバムStreetcoreを残してジョーは旅立つ。悔しい。Streetcoreは俺の好きなアルバム。だが、次のアルバムが出てたら、さらにもっと良いものだったんじゃないかと思えてくる。この本を読む限りにおいては。
そして、ジョーは、天国に旅立っても、いまだジョーらしい。最後の散骨の時の話。まちがいなくジョーの悪戯だ。間違いない。保証する。
すごい。ジョーのすべて。
★★★★★
厚みたっぷり実に読み応えのあるジョーのファンには夢のような本です。秋の夜長にぜひ。