現代の怪異談を収集した「新耳袋」シリーズの第6集。今回は「守」「来」「音」「話」「現」「視」「異」「妖」「居」の9つのキーワードに分類された99話が収録されている。本書が、他の実話怪談本と一線を画しているのは、余計な脚色や解釈をいっさい省略し、取材に基づいた事実のみを淡々とつづっている点だ。
たとえば「塩」という短い話。新築の家に越して3か月ほどたったころ、家に帰ると部屋中に塩がまかれている。理由を聞いても両親は何も教えてくれない。やがて数日が過ぎ母親が「おさまりましたねえ」と一言。それに父親が「ああ」と答え、話は唐突に終わる。そこには、読み手を恐怖に陥れようといった作為はみじんも感じられない。しかし、それゆえに圧倒的なリアリティーが行間から漂ってくる。ドアの下のすきまからのぞく足、玄関にたたずむ真っ赤な人影、つぶれたホテルでひと部屋だけともる明かり…。99の奇怪な話は、日常と非日常の境界をあやふやにする異界への扉だ。
本書のタイトルは、世の中の怪談・奇談を1000あまりも記録した根岸鎮衛(やすもり)の著作『耳袋』に由来する。江戸南町奉行を17年つとめた根岸の『耳袋』は、同時に庶民の風俗を写し取ったものでもあった。「百物語が完成すると怪異が起こる」というのは有名な話であるが、本書にも「一晩で完読すれば怪異が訪れる」といった噂がまことしやかにささやかれている。(中島正敏)
ああ、イヤダイヤダ。
★★★★★
第四夜と双璧を成す第六夜。
怪談としてはこちらに所収されている「幽霊マンション」が正統。
「怖い」と言うことと「不思議」ということでは突出した怪談集。
淡々とした言霊のリズムが無機質で引き込まれ、気がつけば……
どうすれば。
★★★★★
最後の居の章は、あるマンションの一室を舞台にした話で構成されています。
本屋の棚の中で、ほんとうに何気なくこの本を手に取ったのですが、正直、何と言っていいかわかりません。
私、この部屋、知ってます。
今大学の友人が男二人で住んでいます。
学生が住むようなマンションではないので、何でこんないいとこ住んでんの?と聞いたら、この部屋だけ家賃が安いんや、と言っていました。
もちろん、本文では固有名詞は一切出されていません。
でもたぶん、間違いないと思う。
その部屋に遊びに行った時は、清滝に肝試しに行った帰り(ちょっと怖い目に遭った後)だったのですが
何やろう、部屋の隅が黄色い(?)見にくい(?)薄暗い(?)感じの部屋やな、と思いました。
それで本人が「飛び降りあったらしい」と言っていたので、そうか、と思ったのですが、
この本を読んで、正直どうすればいいのかわかりません。
何で立ち読みしてしもたんやろ。
でも、この章で取り上げられてる人は、もしかしたら自分と同じ小学校の出身やったんかもしれんなあ、と思ったら、何か、たまらん。
何かたまらんような気がします。
もしこの本を読まはったら、ちょっとだけ拝んだげてください。
うちには、とても不思議な本でした。
懐かしい怖さ、ちょっと体験したい怖さ
★★★★★
新耳袋シリーズも好きで全部読みましたが、これが一番好きかな?怪談本って目次の中の題名って買うか買わないかかなり重要じゃないですか?これはまず大きく「~にまつわる話」とあって、更にその中が細かく題名がついて99話に分かれています。その題名が思わずそそられます。1話自体はとても短いです。4行なんてのも!でも「うわっ!」っと来る話多いです。自分で体験しそうで、実はしないけれど、でもしてみたい!感じの話が多かったです。さすがに、自分が宙に浮いて自分の墓石が下に見え、そのうち享年まで・・・という話は、いやいや怖いです(^o^;
後、自分の子供の頃を思い出させるような懐かしい話が多いですね。~さんが子供の頃・・・とか、おばあちゃんやおじいちゃんが出てくる事が多いからかも知れません。昔っぽい感じが多いのが好きです。
余談ですが・・体験者が関西弁が多いので関西の方が体験しやすいのかなあ?などと思ってしまいました(^^)
怖い!怖い!怖い!
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リアリティありすぎ!ひとつひとつの話は、とても短いですし、派手な展開もほとんどありません。実際に体験された人の話を集めただけあって、非常にリアルです。夜中に読んでると、もうトイレには行けなくなります。朝まで寝られなくなります。ほんと~に怖いです。