後味の良いデザートと言えるような楽しい作品
★★★★☆
前者はいたずら者の妖精パックの粗忽な働きで、惚れ薬の使い方を間違えて、相手が少しずつずれていくドタバタが、見え見えなんだけれど最後は綺麗に収まってしまうところが、あたかも夏の一夜の余興にぴったりという感じだ。
後者は双子の貴族とその従者がまた双子という凝った仕掛け。これに親子別れの話が絡んで、大団円直前までは抱腹絶倒の勘違いストーリーが展開される。いい加減混乱したところで最後は人情話で丸く収まるところが後味の良い結果を生んでいると思う。
いずれも明るい予定調和の結末である点が、安心できる後味の良いデザートと言えるような楽しい作品だ。
シェイクスピアの作品に名言は限りないと思うが、かつての恋人を嫌って、一度は夢中になってもそこから目が覚めると幻滅する様にたとえて「いわばお前は食べ飽きた料理、異端の教えだ」という一言、拙い演劇でも心がこもっていることを評して「純朴で忠実な心が差し出すものは何であれ、不都合のあるはずはない」、練習したのにあがってセリフが声にならなかった演者に対する「愛と、舌を縛られた純朴さは、聴く耳さえあれば、寡黙であればあるほど多くを語るのだ」というセリフは心に残った。