ロマンチックな印象を裏切る猥雑さに驚き
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この作品を下地にした映画やドラマなどでは家族同士の確執による悲恋物である点を強調しているので、かなりロマンチックな物語と思いきや、他のシェイクスピア作品と同じで登場人物は直接的な猥雑さに溢れている。むしろ、それがあるので純粋さが強調されていると言えようか。
出会いや逢瀬、有名な最後のシーンなどはテキストで読むとあまりにもあっけなく、舞台上での演出家の腕の見せ所と思える。
物語を語る単調なドラマではなく、いわゆる「ボケ」「突っ込み」などが溢れる喜劇的なやりとりの中に、真情を吐露する独白が混じったり、セリフに文化的な教養や時事性、痛烈な皮肉があるのには驚いた。さらにセリフに溢れる罵詈雑言、猥雑さに驚き、「ライブ総合芸能」としての演劇のエネルギーというかエンターテイメント性に感心した。実際には衣装、舞台装置や照明、そして客の反応を見るような間が演出されたりするのだろうが、あまり馴染みがなかった「演劇」にがぜん興味が湧いてくる。
原典が古いうえ何通りもあること、さらに解釈が色々あるのが古典の常だが、国内外の前例を踏まえた丁寧な脚注や解説がそれらを補ってくれている。こちらは文学という学問ジャンルへの取り組み方の認識が改まるところだ。