色々びっくりしました(笑)
★★★★☆
「西遊記」「三国志」「金瓶梅」と並ぶ中国四大奇書・天下にその名が遍く聞こえた名作「水滸伝」。読もう読もうと思いながらいつしか月日は経ち、恥ずかしながら書籍購入から5年ほど経過した今回が初読という体たらく。とは言え、購入した本をぱらぱら見て、いきなり全訳版読破は厳しそうだと判断し、皆さんのレビューを参考に、この岩波少年文庫版にて、泣く子も黙る噂の梁山泊にまずは戦いを挑むことにしました。
そして。全3巻無事読み終わっての感想はとりあえず、「えええええ、梁山泊ってこんなめちゃくちゃなの(笑)」でした。ごく少数の例外を除いて、梁山泊豪傑たちの予想以上のならず者っぷりに「えええええ。それはどうなんか人としてええ?」と胸中突っ込みが止まりませんでした。あんまりそのあたりにこだわってはいけないものだとは分かっているのですけど、ほとんどやり口がヤクザではありますまいかというケースが一件ならずあります(笑)。物語を進める必要からなのかもしれないですが、基本短気な人ばかりですし。「うわあ!また逆ギレした!血の雨が降るーっ!」と何回頭を抱えたか(笑)。
間違いなく民衆の願いが染み込んだ、庶民に愛されてきた作品なのですが、私の中にあった「英雄物語」の約束事を、ここまでボッコボコに破壊してくれた作品は他にありません。忘れられない作品になりました・・。中国の方たちは基本的に豪快で現実的なのかもしれませんね。また、理屈でなく「面白い」「痛快」と人気のあるお話には何が必要かという面からも、かなり勉強になりました。
あとは・・中心人物がなかなか出てこない、というのは事前に知っていたし、いかにも継ぎ足したり削られたりしながら口語で語り継がれてきた作品らしくていいのですが、やはりメモを取らないと人物関係や過去エピソードが分からなくなります(この文庫版には、人物紹介のページはありませんのでご注意を)。
1巻は、本当勝手な話なのですが、噂に聞いていた人気者の黒旋風が登場しないせいもあり、ちょっと物足りなかったです。また、この時点ではまだ「梁山泊」という場所も舞台にはならないし・・。
しかし、とても読みやすくテンポのいい文章で訳してくださっているので、この岩波少年文庫版が初級者に有難い一冊であることは間違いないと思います。抄訳な上に平易な文章というこの初級者バージョンで読んでも、十分読み応えはあります。全巻読了後、いきなり完訳に挑まなくて良かったと思いました(笑)。
良訳なのですが・・・
★★★★☆
高島先生の「水滸伝と日本人」でも推薦されていた松枝訳の水滸伝です。訳すべきところを外さず、なおかつ冗長に流れないように削るべきを削る。そのバランスが良いことが本訳の長所ではないでしょうか。少年文庫とはいいつつ、大人が読むにも問題はありません。最初に水滸伝を読むならこの本といわれるのも肯けるところです。
ただ、やはり少年少女にはあまり読ませたくない部分(ご想像ください)とか、挿入される詩歌のようなもの、水滸伝を深く解釈するにはやはり省略しない方が良いところなどが一部ですが省略されており、結局、水滸伝にはまってしまった人は次に駒田訳に向かわざるを得ないといったところでしょうか。
子供向けと侮るなかれ!
★★★★★
中国では老人が三国志を読めば悪知恵を働かして詐欺をする。若者が水許伝を読めば血気盛んになって乱暴を働くと聞いた事があります
好漢と言えば聞こえは良いですががヤクザです
気分屋でその時の感情で良いことも悪い事もします。ほとんど悪い事ですが…
あと人の命は軽いです。官軍は人民を苦しめる存在として 軽く殺されてしまいます この人たちにも親兄弟家族がいるはずなのになぁ…
なんか批判しているように聞こえますが、褒めているつもりです。優等生的なキャラではなく クセのある個性的なキャラは豪快で痛快!読んでいると胸がすくような スカッととした気分になります
酒癖が悪いキャラが多いですね
少年文庫と侮ってはいけません入門編に最適です!
中国四大奇書を知らなくても楽しめる
★★★★★
恥ずかしながら、初めて中国四大奇書を読んだのだが、容易にその世界に溶け込むことができた。。
上巻だけでも多くの人物が登場するが、人物が何も者か(善か悪か)見分けがつかず、また、その登場人物たちが徐々に線で結ばれていく展開が面白くページが進む。
著者が「はしがき」に書いているが、少年向けだが表現に手加減をしていない。
そのため、幼稚さがなく、大人でも十分に楽しめる。
著者の翻訳センスがすばらしい。
本書では人があっさりと殺されてしまう。
また、主人公的な人物でも人に情けをかけずに殺してしまう。
これにはショックを受けた。
私は、中国の文化、時代背景、書物などに詳しくないため、このことが普通なのかどうか不明であるが、他の中国四大奇書を読んで勉強していくつもりである。
一番読みやすい水滸伝
★★★★★
吉川・清水訳、駒田訳に続く水滸伝第3の地位を占めるといわれる訳本。底本は百二十回本で適宜省略してあります。
日本人小説家の書いた創作でなく、またダイジェストでもなく、しっかりとした言葉で物語を楽しみたい人には最も良い本だと思います。
少年文庫なので当然、水滸伝の持ち味の残酷さや潘金蓮殺しのエロティックは薄められていますが、逆にその辺が好みでない人には特にお薦めできます。吉川・清水本、駒田本とも書店に並べるのも量が多くて一苦労でしょうから、少年向きというところを隠して岩波文庫に入れてしまってはどうでしょう。原本を読む人が増えると思います。