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甘粕正彦 乱心の曠野

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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甘粕正彦はまるで幕末の志士のような男である。 ★★★★☆
1923年9月1日に発生した関東大震災の混乱の中、東京憲兵隊麹町分隊長の甘粕は
アナーキストの大杉栄・伊藤野枝とその甥・橘宗一(7歳)の3名を憲兵隊本部に連行し、惨殺した。
その後、“主義者殺し”の汚名を負いながら満州に渡り、策謀渦巻く中国で暗黒世界に君臨した男、甘粕正彦。
甘粕は地下を這う根のように複雑怪奇な人脈を操り、湯水のようにわき出る莫大な資金を使った怪物だ。

満州の夜を支配するとまで言われた甘粕。映画『ラストエンペラー』では坂本龍一が演じていた。
本書は、肥大化した甘粕の虚像を排し、その真の姿を、佐野眞一流のしつこい取材で追った労作。
本当に大杉を殺害したのは甘粕なのか。
 
ところで、私は、佐野の書いた甘粕の姿に、幕末の志士を見た。
砂漠でも勤皇でも主義はどちらでもいい。「一旗揚げて歴史の主人公になるのだ」
人間は一面的ではない ★★★★☆
 甘粕は確かに怖い人というイメージを周りに与えていたようだが、器の大きい人物というイメージもまた確かにあったようだ。
 坂本龍一の演じたイメージで片づけられない。
 満映にたずさわりつつ、無理な愛国映画ほどつまらぬものはないと言っていたというのも意外なところである。
 また酒乱の一面もあったようだ。やはり大杉事件のあとをひくところがあったのだろう。
 本書はまじめなノンフィクションとしてできているので、直接おもしろいところはとぼしい。みなもと太郎的なものはあまりない。満州での謀略にもう少し面白いところがあれば良かったのだが。
 ただ、太宰治や小澤征爾などの意外な人脈が見えてくるところは、ちょっと面白いともいえる。
 だが、そういう見方が通俗的なのだろう。有名人でなくても、ちゃんと人々の足跡をたどるのが歴史研究の重いところなのだ。
出色のノンフィクション ★★★★★
久しぶりに面白いノンフィクションだった。

前半の大杉栄、伊藤野枝虐殺のミステリー仕立ての筆致も読ませるが、何といっても中盤以降の、満州国に跋扈する大陸浪人の群像が生き生きとして面白い。

僕は高校のころ高見順の「いやな感じ」を読んでから、北一輝、大川周明、大杉栄などの人物像に関心を持った。もちろん甘粕正彦もその一人だ。

この本は「マニア」が読んでも気づかなかった新事実が、丹念な取材で掘り起こされていて出色のできである。
すごい力作ですが、焦点がぼけてないかな…。 ★★★★☆
恐らく本書を手に取った人は佐野眞一氏の手による「阿片王」の続編と言うか、パート2と
言うか、そうしたものを期待して読んだのではないかと思うが、そうした期待は裏切られる。

本書を読んで、(彼自身も言っていることだが)歴史は必ずしも真実を伝えないと言う事を
深く考えさせられた。すべて読み終わった後では、なぜ甘粕が乃木大将の事を嫌いだったの
かが良く分かる。(私自身の乃木のような人間が何故歴史的に評価されているのか分からない
ので)

ただ、500ページを超える大作なので読むのに労力がいること、佐野氏の著作の特徴であるが
丹念に史実を追いかけていく(この辺は私的ノンフィクションである沢木耕太郎等と全く
違うが)ため、どうしても内容的に盛り上がりに乏しく、実際私は何度か途中で飽きました。

それと、これは私の感受性・理解力の欠如かも知れませんが、本書を読んで、甘粕が世間
一般で語られているような人物ではなく、歴史のあだ花となった不幸な人物である事は理解
出来ても、「満州の夜の帝王」と言われた甘粕の凄さは、余り伝わってこない。甘粕の内面
性を暴く事に注力しすぎ、外から見た甘粕の凄さと言うものは伝えきれていない気がする。
その点は残念です。
500ページ近くある甘粕正彦の評伝 ★★★★☆
500ページ近くある甘粕正彦の評伝。
満洲国に興味を持つ読者には既知の情報が多いが
著者が直に話を聞いた関係者の証言は目新しい点。
しかしこの分厚い一冊をアタマから読み通しても、
この甘粕正彦という人物像がまだはっきりとしないところが
この多面的な人物の絶えざる魅力なのだろう。

しかし『阿片王〜満洲の夜と霧』を読んだ時も感じたことだが
阿片や移民を通じて貯めこまれたという裏のカネの流れについては
本書でもまるで明らかにならない。
日本の裏面史の大事なパズルのピースなのだが。