トリックのみ
★★☆☆☆
麻耶さんの作品は初めてです。最後のトリックにはビックリさせられました。しかし、文章が読みにくい、登場人物の名前がややこしい等、小説として楽しめたかどうかというと「否」です。カインとアベルに複雑な漢字を充て、ややこしさに拍車をかけています。メルカトルという奇妙な出で立ちの人物が出てきますが、この人物は著者の他の小説にも出てくるレギュラーのようですね。私は読後にそれを知りましたが、この本を読む前に、メルカトルが出てくる小説を読んでおいたほうが、より理解しやすいかもしれません。が、私は著者の他の作品を読みたいとは思えません。
超絶技巧の叙述トリック作品
★★★★☆
弟・襾鈴(あべる)の死の謎を追って、珂允(かいん)がたどり着いたのは、
現人神「大鏡」が君臨する、現代文明から隔絶された地図にない村だった。
珂允は、かつて弟が庚という名で大鏡に仕えていたことを知るのだが……。
珂允と襾鈴という名が示すように、本作では旧約聖書
を踏まえた、兄と弟の相克がテーマとなっています。
そして、本作を読み解く上で留意しなければならないは、その「語り」の構造。
基本的には珂允に焦点化した三人称の語りで進行していきますが、
その合間に、自由気儘な弟に憎しみを募らせる櫻花という兄の
視点で語られるパートと、「外」の世界に憧れる橘花という弟の
視点で語られるパートが、交互に挿入されます。
この「語り」に仕掛けられた、作者の超絶技巧を理解した時、読者は文字通り、
足元が崩れるような「世界」の崩壊の瞬間を目の当たりにすることになります。
旧約聖書を踏まえた「兄弟」の物語
★★★★☆
弟・襾鈴(あべる)の死の謎を追って、珂允(かいん)がたどり着いたのは、
現人神「大鏡」が君臨する、現代文明から隔絶された地図にない村だった。
珂允は、かつて弟が庚という名で大鏡に仕えていたことを知るのだが……。
珂允と襾鈴という名が示すように、本作では旧約聖書
を踏まえた、兄と弟の相克がテーマとなっています。
そして、本作を読み解く上で留意しなければならないは、その「語り」の構造。
基本的には珂允に焦点化した三人称の語りで進行していきますが、
その合間に、自由気儘な弟に憎しみを募らせる櫻花という兄の
視点で語られるパートと、「外」の世界に憧れる橘花という弟の
視点で語られるパートが、交互に挿入されます。
この「語り」に仕掛けられた、作者の超絶技巧を理解した時、読者は文字通り、
足元が崩れるような「世界」の崩壊の瞬間を目の当たりにすることになります。
現人神「大鏡」が支配する世界
★★★★☆
弟・襾鈴(あべる)の死の謎を追って、珂允(かいん)がたどり着いたのは、
現人神「大鏡」が君臨する、現代文明から隔絶された地図にない村だった。
珂允は、かつて弟が庚という名で大鏡に仕えていたことを知るのだが……。
珂允と襾鈴という名が示すように、本作では旧約聖書
を踏まえた、兄と弟の相克がテーマとなっています。
そして、本作を読み解く上で留意しなければならないは、その「語り」の構造。
基本的には珂允に焦点化した三人称の語りで進行していきますが、
その合間に、自由気儘な弟に憎しみを募らせる櫻花という兄の
視点で語られるパートと、「外」の世界に憧れる橘花という弟の
視点で語られるパートが、交互に挿入されます。
この「語り」に仕掛けられた、作者の超絶技巧を理解した時、読者は文字通り、
足元が崩れるような「世界」の崩壊の瞬間を目の当たりにすることになります。
閉じられた世界
★★★★☆
単行本(1997年)→新書版(1999年)→文庫(2000年)。
新書化、文庫化の速度が異常に早い。まあ、それだけの面白さがあるとは思うのだが、倫理的にはどうなのか。
けっこう大掛かりなトリックが仕掛けられており、さすがに感心させられた。ただ、こういうトリックは他の作家にやって欲しかったというのが、率直な感想。というのも、文章に魅力がなく、ストーリーもつまらないからだ。この人の話で500頁以上も読まされるのは、苦痛でしかない。といって、この物語には膨大な頁数が必要なのも事実だし。
アンチ・ミステリとしてもあまり評価しない。