空母飛龍と山口多聞
★★★★★
真珠湾攻撃とミッドウェイ海戦を、山口多聞ひきいる第二航空戦隊の側から映像化した作品である。
山口多聞を描いた文章作品は無数にあるが、その活躍が映像化されたのは、ほかにはアニメの『決断』くらいだろうか。
太平洋戦争を語るとき、犬死にのような面ばかりが強調されるが、最後まで奮闘した事実も忘れるべきではない。
空母飛龍と山口多聞の奮闘は、源義経や楠木正成とおなじように、民族的叙事詩として語り継がれるべきだと思う。
この作品では、山口多聞を三船敏郎、山本五十六を藤田進が演じている。
三船敏郎もわるくはないが、やはり『トラ・トラ・トラ!』で山口多聞を演じた藤田進にしてほしかった。
終盤、飛龍が味方の魚雷で処分される場面は、胸にせまるものがある。
映画としてもよくまとまっており、なんどみてもあきない。
鶴田浩二
★★★☆☆
この作品に出てくる友成大尉を演じる鶴田浩二さんはこの役を熱望したそうです。
ですが、この作品の友成大尉こそ映画の中での作戦失敗のA級戦犯です。
偵察機からの報告から敵空母はいないと決め付けています。しかし味方空母が被弾炎上した際には上官に意見具申していました。ハッキリ言ってトラブルメーカーです。
作品自体は面白いですが、最近のお涙頂戴反戦映画ではなく戦記物ですね。
ガンダムとか好きな人は受け入れやすいでしょうね!
日本人なら
★★★★☆
面白い映画だった。「連合艦隊」もよかったが、
こちらは、特に、無敵であった第1航空機動部隊が主役である。
”ハワイを飛行機で叩けぬか?”という、
山本長官の着想による、航空部隊の猛訓練。
開戦後の快進撃は生まれる。
真珠湾は、日本海海戦に続く、海軍の大勝利だろう。
その後、南洋で敵なしの勢い。
後塵の敵を断ち、時を持つ米に対し、
山本は、米太平洋艦隊の息の根を止めるため、
MIという大きな作戦を、過酷な日程で立案。
一方、米は、真珠湾の仇打ち、暗号解読。
先の海戦で傷ついた空母を突貫工事で復旧。
周到な準備を行い、日本海軍を待ち受けていた。
日本海海戦の裏を取られた日は、過信、油断もあった。
米は、MI島を爆撃した日本の艦載機が帰還し、
空母にたどり着く混乱の時間を逆算し、飛行機を出撃。
魔の5分と呼ばれた、換装ミス。
情報のない中、全てが想定外、後手となった、
南雲、参謀の判断も、しかたなかったかと思える。
”聯合艦隊解散の辞”は、奪われてしまったか。
本編は、飛龍のパイロット、北見中尉が主人公である。
北見が真珠湾後、故郷に帰り、
子供の歌う”軍人さんのおかげです”が印象的である。
北見は故郷に帰り、ほっとする間もなく、
結婚式を前に、呼び出される。
どうみても、昭和の軍人さんが、ひどいようには見えない。
また、いつもながら三船さん演じる、
今回は、闘将山口提督、かっこよい。
その他、見所あり、色々考えさせられる、良作である。