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脳の言語地図 (学びやぶっく)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 単行本
ブランド: 明治書院
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脳科学の現状と限界 ★★★★☆
問答形式で読み易く、脳科学の現状を知るのには良書。
ただし「この程度が脳科学の現状」との失望感が正直な感想。
「脳波測定で判るのは、いま頭の中でパーティが進行中かどうか迄で、話の内容まではつかめない」というのが十数年前の脳科学書であった。現在はどの辺りのパーティかが判る程度までは進歩したらしいが、道遠し。

訳のわからぬクオリア理論に振り回されてクオリア・プロジェクトなるもので失敗した大企業がある。こうならないためにも脳科学の実態は把握しておく必要はあろう。そのためには有用な書物。
脳科学の歴史から「言語脳科学」の最新研究成果まで、問答形式で易しく紹介。 ★★★★★
「言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか」で知られる著者による最新刊です。脳で言語をつかさどる領域(言語野)を機能ごとに区分化した"脳地図"として作ることに成功した著者が、脳科学の歴史から「言語脳科学」の最新研究成果まで易しく紹介しています。Q&A形式で読みやすく、サイエンス・カフェで話を聞いているかのようです。(「言語の脳科学」を読んでいない読者でも本書は読めます。むしろ本書の方が初心者向けです) 出てくる話題も豊富です:言葉と脳の関係、動物の脳と人間の脳の違い("人間らしさ"とは?)、脳研究の歴史、外国語習得、等々。

言語習得過程の話でも「部分と全体」「分析と総合」「再帰性」(例:fractal)という話題が出てくるのは (当然と言えば当然ですが)面白いところです。文章(全体)を理解するためには各単語(部分)を理解しない訳にはいきませんが、単語(部分)の理解は文脈(全体)の理解に依存する、という事態が頻繁に生じます(→"解釈学的循環"、物理屋に言わせれば"自己無撞着な方程式"のイメージ)。このような困難な状況は外国語を習い始める時に確かに遭遇しますね。そこで、同じ外国語に関する問題に対して初心者と習熟者で脳の使い方が実際に異なり、習熟すればするほど脳が"省エネ"になっているという結果は興味深かったです。予備知識が増え予測の精度が上がれば、脳は無理しなくとも正解に辿り着ける、といったところでしょうか。(確かに"初期値"が良くなれば"自己無撞着な方程式"の解は速く/楽に得られますね) この辺りは"ベイジアン脳"(「心をつくる―脳が生みだす心の世界」)を想起すると更に興味深く読めました。