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言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか (中公新書)

価格: ¥945
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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言語学が「サイエンス」だということがよくわかる ★★★★★
この本から得られることは大きく二つ。
一つはそのものずばり
「言語に関する脳科学の最新の知見がわかる」
ということ。
非常に明瞭な文章で、「言語の獲得のプロセス」「脳のどの部分で言語処理が行われるか」などが語られます。

もう一つは、
「チョムスキーのすごさを再認識させてくれる」
ということ。
チョムスキーの「生成文法」というのは、すごいすごいと言われつつ、門外漢には何がすごいのかいまいちピンと来ないところもあった。
だが、本書ではかなり熱のこもった「生成文法のすごさ論」が語られ、私のような人間にも「なるほど確かにすごいな」と思わせるような内容になっている。

他にも「手話と言語の関係」「幼児期の言語習得」など、興味のあるテーマが満載。
そんなこんなで非常に内容の濃い一冊です。
生物の制約 ★★★★☆
言葉の規則は脳によって規定され、変更の効かない生得的なものなのか? わたしたちは欲しさえすれば自分は自由になれると考えがちだが、実際は隅から隅まで遺伝子の忠実な奴隷に過ぎない。言語はもとより、崇高とされる理想や価値観にしても、生き残りのためにのみ存在する遺伝子が作りだした「ある枠組みの中での道具」にすぎないのである。
門外漢には難解 ★★★☆☆
言語学というとほとんどの大学や研究機関では文系の範疇に入る。
そして研究者の大半も文系の訓練を受けてきた人々である。
それは文字や音声で表現される言語というものは再現性や反証性を重視する自然科学の手法になじみくかったこともあろう。

しかし、認知科学や脳科学の発達により、言語活動を脳の活動と関連させて研究する手法が広くとられるようになってきた。脳の活動から言語をとらえることによって従来の言語学の知見が再確認されたものもあれば、否定されたものもあり、まったく新しい局面を迎えたものがある。脳科学により言語学はさらなる発展を遂げたとも言えよう。
だが、著者も言うように脳科学者には基本的な言語学の知識を欠いたまま言語活動について論究する者もいるようである。言語学者が脳科学の知見を踏まえるのも当然であるが、脳科学者が言語学の成果を知ることも同様に必要である。近年進む学際的研究の典型であろうが、双方の専門への敬意を持って研究を進めていただきたい。

脳科学を専門とする著者が最前線の知見をできるだけわかりやすく紹介しようとする意気込みは買うが、それでも難しい。
脳科学の話となるとわかりやすくするにも限界があるのは致し方ないというところだろうか。
とりあえず脳科学の奥深さ、それでも脳が言語をどのように処理しているかにはまだまだわからないことの方が多いということはわかった。
著者の思い込みが邪魔 ★★★☆☆
全体的には良書だと思うし、理論そのものには賛成なのだが、
一部に著者の思い込みが混じっており、そこだけが残念。

その代表的なものが「行動主義では、幼児があれほど容易に
母語を獲得し、中高生があれほど第二言語習得に苦労する
現象は説明できない」という主張。

行動主義批判は良い。ただし、幼児の母語獲得や中高生の
第二言語(英語)学習を「容易「だの「苦労している」だのと表現
するのは著者の解釈の問題であり、脳科学とは何の関係もない。

著者は4歳児が相当なレベルで母語を使いこなしていると
書いているが、4歳児の言葉がまだまだ不完全であることは、
成人と比較するまでもなく明らかである。
カタコトでは「完成している」とは言えないだろう。
そのカタコトでさえ、生後の数千、数万時間を経た結果であり、
これを「容易」などと表現することが適切とは思えない。
「獲得=容易」というものでもないはずだ。

また、中高生や成人が英語習得に多大な期間を要するのは、
学習時間が決定的に不足しているからであるというのが、
(英語)教育に携わる者の常識である。脳科学だ何だと
言う以前に、学習そのものが不足しているわけだ。
加えて、ある程度まで英語を使いこなすだけなら、
数千時間の学習で事足りる。集中して取り組めば、
わずか1、2年でも相当な成果を上げることが可能だ。
母語獲得に要する時間を考えれば、これは驚異的な速さである。

もちろん第二言語と母語を置き換えるのは不可能だし、
母語なみに上達するのもほとんど不可能ではあるが、
「だから幼児の母語獲得より第二言語学習は困難」
と決めつけられるものでもないだろう。

科学的な知見と個人的な印象は、きっちり区別すべきだ。
この点で、この著者の文章は説得力に欠ける。
理論ではなく、著者の「書き手」としての問題である。
サイエンスなのはいいが。 ★★☆☆☆
今までなされてきた言語学にはサイエンスという意識が欠如しており、それを追求することで言語の本質に近づけるという著者の明確な主張はよんでいて気持ちがよくもある。しかし、そのサイエンスによって証明されうる統語論のみを言語の本質であると捉え、その他を捨象するといったことは誤っていると考えざるを得ない。言語とは語彙に対応する記憶野やほかの部分も総合的に使用される一種の総合的機能である。ならば、むやみにサイエンスと彼が主張するものだけではなく、著者が切り捨ててきた(少なくとも等閑視している)語用論や意味論といったものもまた言語の本質なのである。統語論とその他意味論を統合することこそ、まさに文系と理系が手を取り合うことであると思うのである。後半の脳科学に関しては著者が長年にわたって研究してきた分野だけあって、例も豊富であり、そこにこそこの本の意味があるのではないだろうか。