人の夢と書いて「はかない」
★★★★☆
バルサが謎の歌い手ユグノを助ける。
そしてヨゴ王国では、王妃のほか眠りに入ったまま目覚めない者が増えていた。
そしてユグノは王妃の前でも歌を歌っていた。
そして夢の世界にバルサの大切な人もとらわれていく。
夢の世界で魂を巣食われて鬼と化したタンダを救おうとするバルサとトロガイ。
トロガイもかつての過去と向き合う事となる。
今回のストーリーでバルサが戦うのは人でもなく、権力を得るための陰謀でもない。
人を現世に戻すという事である。
前2作に比べると、雰囲気が違うが、シリーズの世界観は見事に表現していた。
ユグノの外側(出生他)についてはかたられたが、彼の心の中があまり語られていなかったのが残念。
彼の心についてもう少し触れて欲しかった。
和風ファンタジーの代表作
★★★★☆
主人公のバルサ、女用心棒という設定から繰り出されるファンタジーストーリーは
これまでになかった和風ファンタジーの代表格に相応しく、いっきに読破できます。
アニメ化もされたようですが、断然文字で読むことをおススメします。
とっつきやすくて読みやすい、お勧めの1冊
★★★★★
守り人シリーズ第3弾。
1作目、2作目と同様にドキドキのアクションと
ファンタジーが楽しませてくれます。
このシリーズの良いところは各登場人物の内面描写が深くなされているところと、
ストーリーの主題が我々の住む現実とどこか繋がっている点。
本作では、「夢」が主題となっていますが、我々が普段眠っている際に見る夢も
魂の癒しであり、本当の願望であると気づかせてくれます。
とっつきやすくて読みやすい、お勧めの1冊です。
シャーマンになる資格
★★★★☆
今度は、呪術師である老女トロガイの物語だ。子を失った母親たちの物語でもある。
悲しみというのは、やっかいな側面を持っている。事な人を失ったのに十分に悲しんでいないと他者が判断したときは、糾弾されてしまうこともあるだろう。だから、悲しんでいる人自身も、悲しみを手放す時機を見誤るときがある。
悲しみや苦み、怒りや憎しみがやわらぎ、薄れても、大事だった人を忘れることではなく、その人を心の中から失うことではないのに。
トロガイでさえ若い頃はあり、若いときの決定的な喪失が、彼女の人生の道筋を大きく変えた。
もしも、自分のあきらめてもあきらめきれない、しかし叶うことはない夢を、見ることができるとしたら、その夢から覚めることができるだろうか。
そんな心の迷いを描いたこの作品、やっぱり、子ども向けにしてはテーマがやけに深い気がするのだが。
幻想的で美しい情景と音楽に釣り込まれて、この巻も一気読みしてしまった。
夢たちの記憶
★★★★★
凄腕の短槍使いで女用心棒のバルサは、
ある日、「奴隷狩人」から男を救う。
彼は、放浪の歌い手「木霊の想い人」だった。
時を同じくして
バルサの幼馴染、呪術師タンダの姪や、
宮の奥深くにいる皇太子であった息子を亡くした一ノ妃、
そして、新たに皇太子となったチャグムまでもが、
眠りからさめずにいた。
そして、タンダもまた罠にかかる。
なぜ彼らは夢からさめないのか。
「花」とは何か、「花番」とは、「花守り」とは何者か。
この物語では、
「精霊の守り人」で、
チャグムの命を救う役割を果たした大呪術師トロガイの過去が、あきらかになる。
そのことにより、
普通の人々とは違う魂を持つ人々の生き様をもうつしだす物語になっている。