今更ですが。
★★★★★
いやぁ、この年齢になるまでこんなに魂をゆさぶる作品があるとは知らなかった。
私、このシリーズでの最強ワード。
「絶望するしかない窮地に追い込まれても、目の前が暗くなって、
魂が身体を離れるその瞬間まで、あきらめるな」
この言葉、大人になって渇いた心に響くなぁ。
子供がもう少し大きくなったら、是非読ませたい作品。
バルサのように、強く、逞しい、でも優しい心を持って欲しい。
バルサ中毒
★★★★★
あえて文庫版が刊行されるのを待ち、
偕成社版を手に取りたい気持ちを抑えつつ、
焦がれて待つ。
まさに、バルサ中とも言ってよい。
内容は、しっかりとした世界観から繰り出される
上橋ワールド。
読者は、またまた重度のバルサ中毒に陥ります。
次まで、ドMで待ち続けましょう。
下巻が気になる・・・
★★★★★
前作で物語がスケールアップした感のある本シリーズ。
この作品でもそれは保ちながらも、バルサたちの思いが十分に描かれている。
また本作品では「それが正しいことであれば人を殺しても良いのか」という非常に重いテーマが描かれている。人々を畏怖させる力とそれと向き合う少女と設定においては、「獣の奏者」にも相通じていくテーマである。
このテーマが本作ではどうまとめていくのか、下巻が楽しみになってしょうがない上巻である。
重いテーマ
★★★★☆
最初、冒頭の虐殺シーンが血なまぐさく、また舞台がロタということもあり、シリーズの他の作品とは雰囲気が違うかなと感じ、また少女アスラの背負うものがあまりに大きいので、バルサにとって荷が重すぎるのではとハラハラしました。が、バルサの活躍とともに作品に入っていくことができました。ロタという新しい国を見聞して(という感じ)、世界が広がった感じです。
アスラの力はいわば最終兵器で、核兵器と同じく、(「獣の奏者」の王獣にも感じますが)、究極の力を人間が持つことの意味について考えさせられます。たとえば、明らかな悪に対してなら、用いても良いのか?善人であれば、あるいは、虐げられたものであれば持つ資格があるのか?そして、その選択をするのは、過酷な運命を与えられたひとりの少女・・・。
バルサと互角の、しかも決して相容れない(目的のためには手段を選ばない)存在も登場、物語から目が離せません。
逡巡の末に選択する、ということ
★★★★★
選択を迫られ、迷った末に、しぶしぶ選択する。
そのあとになって、別の選択のほうがよかったのではないか、と思い悩む。
たくさんの人の死、というほど、重い問題ではなくとも、日常の中で、日々選択を重ねて行かざるを得ない。
とめどない時間の流れの中では、別の選択肢の結果を並べてみることはできず、選択の可否は常に推論の中にある。
「情に流されている、大局が見えていない」などと批判されても、良心に従った選択であれば納得ができるはずなのだろう。
若者には人生の指針に、中年には半生の保証に、そういった真理があるから、架空の物語に涙してしまうのだろう。
年を取ってから、どんな真理を感じられるのか、読み返すのが楽しみなシリーズだ。