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無銭優雅 (幻冬舎文庫)

価格: ¥520
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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子どもの頃のなつかしい時間、場所を書き留めてくれた小説 ★★★★★
 私と同世代の2人の恋愛を知って、私も…と思った。それが一番の収穫。

 生まれたときから吉祥寺に近い、井の頭線沿線に住んでいて、主人公達と同世代の設定の私にはなつかしい思いや言葉が溢れていて、それだけでも読んでいてうれしかった。なかでも「吉祥寺ロンロン」(文庫p.205)は今やアトレに(2010.9.21に本格的に開店)なってしまい、よくぞ書き留めてくれた!と思う。なつかしいことばとしては「ベルマーク」(p.218 私は今も切り取っています!)、「オオイヌノフグリ」(p.173 母がよく言っていた…)、「アオミドロ」(p.177)、「ノンシャランな」(p.196 これは骨董的で書き留めるに足る)。

 世界史好きの私には、無憂宮でおなじみの「サンスーシ」(p.145)【仏語 sans souci 憂い無し】ということばがヒットした。他にも「プルーストのマドレーヌ」(p.145)、「帯をくるくる解いて、『あ〜れ〜』」(p.123)などのフレーズを読んでいて、詠美さんと同じ文化を共有する幸せを味わえた。小学・中学・高校・大学でよく勉強しておいてよかった…。
尋常ではないが異常ではない ★★★★★
45歳の慈雨が同い年の栄と出会った3年前を回想するところから物語は始まる。
たいていの人は、
栄の言動が尋常ではないことにまず違和感を覚えるだろう。
読んでいて、恥ずかしくなってくる。
慈雨との恋愛を最高の関係であると、
思い込んでひたすら美化する。
それに対して慈雨は比較的クールな面もあるが、
栄の「至高の恋物語」に飲み込まれてゆく。
中年が若者のように恋をするさまは異様だが、
慈雨が頻繁に発するアフォリズムがいいので、
本を投げ出さずになんとか読み進められる。
たとえば、こんな一文。
〈愛があれば経済力なんて、などと時代錯誤の甘ちゃんのようなことは夢にも思わない。
けれど、必要以上のお金を持たないことが、その人の魅力の一部になっている、そんな男って、いるものだ。〉

随所に挿入される、過去の名作小説の引用も読みどころのひとつ。
適切にセレクトされている(読書案内的でもある)。

最後まで読み進めると、
栄が尋常ではないことの理由が明かされる。
慈雨が栄と3年間付き合い続ける理由もわかる。
二人の関係が尋常ではないということが、異常ではないことが分り、腑に落ちる。

山田詠美はやっぱり、上手い。
恋愛小説の名手であることを再確認する1冊だった。

巻末の豊島ミホの解説も秀逸。
昨今の「純愛小説ブーム」にからめて、
恋愛小説における「死」のあつかい方について
語っていて興味深い。
読むのが苦痛で仕方なかった ★☆☆☆☆
主人公・慈雨と、恋人・栄のやり取りが読んでいて本当に苦痛でした。
二人、特に栄のあの口調は幼稚すぎて、お互いがお互いに夢中になるのに全く共感できません。
さらに、「二人の世界」に陶酔している慈雨のモノローグが、下手な恋愛小説によくある、きれいなすてきな語感の比喩を並べ立てて無理に表現しようとした文章に見えて、何だかガッカリしました。

それでも慈雨と家族とのエピソードは、これぞ山田詠美と言えるような、悲しくも温かい雰囲気に包まれていて、ホロリと来ました。
うー ★★★☆☆
オビみて、中ぺらぺらーっとめくったら、


せちがらい世の中ですもの。目の前にある男の唇は、とりあえず吸っておかなくては。ちゅっ。美味ではないか。


というページにばったり出会ってしまい、衝動買い。

べったべたで、あまあまで、自分には到底無理な恋愛が、
ちょっとうらやましかったりする。
けど。。
なかんじ。

なんだかんだ言って、一気に読んじゃったけどね。
読み所は「パパ」。 ★☆☆☆☆
山田詠美、学生の頃から大好きだったのに、
何でこんなアホな作品を書いてしまったんだろう?
何の遊び?どんなルール?
なんていっても、栄が気持ち悪すぎる!
二人でいるときの慈雨もありえない。

よかったのは家族の挿話のみ。
父母の娘としての慈雨、妹(義妹)としての慈雨、叔母としての慈雨。
さすがに逆説的な心理を描かせたら詠美は上手いなーと思う。
「パパ」に存分に泣かしてもらいました。

でも栄のせいで、もう手もとにもおいときたくない。