ちぐはぐ感
★★★☆☆
橋本紡、星新一、浅田次郎など、好きな作家の名前が並んでいたので、思わず手に取った。
最後まで読んだが、これはあまりにもセレクトが無理矢理すぎではないだろうか。
まず橋本紡だが、まさか「猫泥棒と木曜日のキッチン」から断片だけ収録するとは・・・
石田衣良も「池袋ウエストゲートパーク」の断片だし、一緒に買った「スクール編」にも言えることなのだが、短編連作からの引き抜きが多くて、100%楽しめない憾みがあるのだ。
星新一の「門のある家」が何故「10代のための新名作」なのかも全くわからない。
どう考えても10代向けであるとはとても思えない。なにしろ星新一作品は1001以上もあるのだから、もっとこのコンセプトに適当なものがきっとあるはずだ。
ただ、浅田次郎「雛の花」は連作の一つであってもあまり違和感なく読めたし、宮部みゆき「サボテンの花」は独立短編で、楽しく読めた。
このように面白く読めるものもあったがゆえに、前半で感じた違和感が勿体ない。
考えるにこのシリーズは、普段あまり本を読まないティーンエイジャーが読み、さらに原典の短編集・連作短編集も読んでもらって、新しい読者を開拓しようという試みなのかもしれない。
とすれば、私は期待されている読者層ではなかった、ということになるのだろう。
そういうことなら仕方ないか、と思うことにした。
放課後って?
★★★☆☆
放課後編。
放課後、というとやはり学生の放課後、ってことだと思うんだけど、
ちょっとそれとは違った雰囲気。
星新一さんの作品なんかは
ぜんぜん放課後っぽい話ではないし、
どちらかというと短編SF。
学生も出てこないし、
学校も出てこないし、
不思議なはなし。
なのに、放課後編に入るから
何を基準に選んでいるのかまったく不思議な短編集です。
でも、星さんの作品はよかったし、
浅田次郎さんの『雛の花』という話しもすごく好きです。
ここに出てくる主人公の祖母のように
(というか祖母が主人公のような気もするけど)
凛としたたたずまいで人生生きていきたいなぁ〜、などと
感じました。
放課後とはまったく関係ないような
作品群でしたが
なかなかの作品集だったと思います。