古い記憶は甘い
★★★★☆
日々変化を遂げていく都市風景。今でも其処ここで何かが壊され何かが生み出されている。毎日の様に通っている通勤路で、いきなり工事中のシートに覆われた瞬間、ランドマークは別にしても今まで何が其処にあったのかも忘れている儚い記憶。特に都心に息づく庶民の生活は次々になくなり、古い写真だけがその変化の激しさを教えてくれる。便利な生活を求める反面、一抹の寂しさを覚える。そんな年齢になったのかも知れないと改めて感じさせられる一冊だ。
最近の写真との対比が面白い
★★★★★
同じ風景の昔と今を交互に写真で紹介する。銀座周辺、池袋、東中野とエリアを決めて何枚かの写真を紹介します。ただの風景が、年月を経て驚くような変化を見せます。見るだけでなく所有したくなる本です。
「街」に向けられたやさしい眼差し
★★★★★
実はこの写真集を見ることは自身の成長、激変を見つめることにもなります。あの頃あの町に佇んでいた、住んでいた、働いていた、通学していた、
待ち合わせていた、朝まで飲み歩いていた・・・いくつもの心象風景が一瞬のうちに蘇ってくる。今の私があの頃の私と、どんなに変わっていたのかを
改めて思い起こさせてくれます。新たに撮影された現在の一枚、一枚の街の風景が、手に取った今この瞬間に、既に過去のものになっている。
数年前に、銀座のフォトサロンで開催された筆者の写真展に込められた「街へのやさしい眼差し」が、この本には確かに息づいています。
そんな大竹さんのやさしさは「街」と「私」という人にも向けられています。