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いとしい (幻冬舎文庫)

価格: ¥560
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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失敗作です。 ★★★☆☆
 川上弘美の実力は、短編については認めています。けれど、これはいただけません。
 実質的に、文章には、短編には向かない文体というのが存在します。その代表が、江国香織、川上弘美です。綿矢りさもそうですが、彼女はうまく考え、最新作の「夢を与える」では文体をがらりと変えました。ほかにも柴崎友香もそうです。
 さて、川上弘美の文章が長編にどこがどう向かないか、かんたんに説明します。まず、文章がやわらかいこと。長編にはたいてい物語ありきで、このやわらかさでは物語をうまくコーティングできません。そして、文章がイメージ優先であることです。一瞬の肌触りや色彩をたおやかな文章でつつみこむ技術はたしかなものですが、実は、そういう文章は、ずっと読んでいると飽きるのです。
 この「いとしい」も飽きます。有機的につながりのないエピソードと、エピソード同士を弾ませることのできない文体でこの長さは、無理です。
 他作品に期待します。
むむ。 ★★★☆☆
初めて川上弘美さんの作品を読みました。
ワタシには難しいというのか、読んでても場面が浮かばないんですよねぇ。だから、最後のほうなんか文字を追ってるだけになっちゃいました。
好きなタイプと、全くダメなタイプに分かれそうですね。
楽しく味わいましょう ★★★★☆
この方の文章ってのは本当に味わい深くていいです。「神様」から近作の「ニシノユキヒコの恋と冒険」まで読ませていただいています。その中に奇妙だけど愛すべき存在が登場します。不器用だけど素直に生きている生物、そして独特なしゃべり方。夢見心地な気分になれます。小説の技法に捕らわれない作者の魅力があります。川上弘美さんの本はとにかくお勧めしたいのです。
うっとろりん。 ★★★★★
 わたしは川上弘美さんの本が大好きですが、中でも一番好きなのが「いとしい」です。あ、ちなみに「椰子椰子」といい勝負です。本当になんといいますか、彼女の描く世界の妖艶さに包まれてしまいます。自分がとってもつややかに潤う感じですよ、ね。
日本語は、こんなにすばらしい言語です ★★★★★
雑誌「文藝」2003年秋号に、「川上弘美は翻訳できるか」と題して、柴田元幸が寄稿している(柴田元幸は村上春樹と「翻訳夜話」などを出版しているほか、多数の翻訳がある)。本当に、川上弘美の作品には翻訳不能と思われる日本語が数珠繋ぎに現れる。そしてその効果たるや、作者の個性を余人から隔絶させるほどの力である。この作品では初期作品に比較して、はるかに作者の実力が向上しているため、とりわけ作者の日本語の面白さを堪能できる。

この作品の内容をひとことで説明しようとすると、確かに文庫の裏表紙や、先述の「文藝」にある「全著作ガイド」のように、何ともドロドロとした恋愛小説みたいな紹介になってしまう。だから、読む前の私はこの作品から「引いて」いた。しかし、実体は違う。現実世界からちょっと位相のずれた世界で生きている登場人物たちの漂うような、しかし確固たる個性をもった生き方の、妙にリアルな生活感。超自然の出来事の、物語内部における必然性。また、結構シビアな心理事情でありながら、それを記述する明快であっけらかんとした文体。それは日本語を母国語とする者にしかわからないような微妙なニュアンスに満ちていて、日本人に生まれて日本語を解しうることの喜びを感じさせてくれる。確かに川上弘美は翻訳不能である。