核心は恋物語
★★★★★
三部作の第二部。前作の主要登場人物に新たなストラヴァガンテが加わって、より大きな冒険に引き込まれていく。前回は自分の世界では不治の病に罹っていたルチアーノがタリアへとストラヴァガントして来て、永久にタリアの住人となった。今回はルチアーノの友達だったジョージアがストラヴァガントして来た。何か使命がある者が現代のイギリスから、中世のタリアへと引き寄せられる。彼女の使命は、タリアでは治せない障害を負ったファルコをイギリスへとストラヴァガントさせることだった。こうやって現代のイギリスと、時空を超えた中世のタリアとが絡まり合っていき、それは双方の世界へ予測できない影響を及ぼしていく。そして、タリアの支配を目論見、ルチアーノらと敵対するファルコの一族が、ストラヴァガンテの秘密を探り出すことを誓う。陰謀渦巻く冒険談であるが、しかし、物語の中核は、ルチアーノとアリアンナ、ジョージアとファルコの恋物語なのだ。思春期の彼らのぎこちない恋の行方が。彼らの恋の結末が幸せなものであることを願って、完結編を待ちたい。
イタリアのシエナに行ってみたくなる~
★★★★★
第1作ではヴェネツィアに行ってみたくなりましたが,本作ではシエナに行ってみたくなります。シエナって,もう町の存在それ自体がファンタジーの世界なんですね。イタリアの文化と歴史の香りに包まれた魅力的な町シエナ(と,その時空を超えた鏡像体であるレモーラの町)を舞台に,作者の想像力は,翼を持つ幸運の子馬のごとく,自由に,時空を超えて広がっていきます。個人的にはかっこいい男の子が主役のファンタジーの方が好きですが(^^;),本作の主人公はおてんばな女の子です。でも,まあ,いいでしょう。とにかくおもしろかったです。
シリーズ第2作[花の都]
★★★★☆
ストラヴァガンザとは時空を超え旅することを指し、今回は骨董屋で翼を持つ子馬の像を手に入れたジョージアがストラヴァガンテとなり、星競馬で沸き立つレモーラに降り立つ。そこでジョージアは、重い病に苦しみ死んだはずの少年ルシアン(タリアではルチアーノ)と再会し、驚く。前作《仮面の都》でストラヴァガンテとなったルシアンはこちらの世界で新たな生を受けていたのだ。レモーラは12区で成り立ち、それぞれ星座の名前を持つ。その中、雄羊区に背中に翼を持つ特別な馬が生まれた。これは幸運の証として、とても素晴らしいことだった。だが、対立する区でもあり、星競馬を権力保持の手段として考えるキミチー家の当主ニコラ公爵はそれを喜びはしなかった。一方、キミチー家の公子ガエターノとファルコはマヌーシュの竪琴ひきアウレーリオの音色に引き合わされて、ルシアンとジョージアに出会う。彼ら兄弟は父親のニコラ公爵とは別の考えを持ち、落馬事故でひどく痛めたファルコの足をストラヴァガンテすることで治せないかと考える…そして、その決断はすべてのストラヴァガントを巻き込み、物語は進んで行く…といったストーリー。
この《星の都》は《ストラヴァガンザ》シリーズ第2作で、次作《花の都》で完結予定だ。だが、それぞれつながる部分はあっても独立した話なので、それほど気にすることなく読むことができる。
どんどん展開される物語に引き込まれ、自分も冒険したような気分になれる作品で、次作がとても楽しみだ。
ストラヴァガンティ
★★★★★
まず、この本を手にとり、読んでみると、とにかく馬がでてくる。こっちの世界でもあっちの世界でも馬・馬・馬・・・ ブヒヒン。 はじめは馬と込み入った地区と勢力図の説明ばかりでいやになるが、そのあとがおもしろい!(乗馬も) おなじみのキャラも登場して、おまけに信じられないところからストラヴァガンテが生まれます。一巻を引き継ぐ弩級の愛憎劇に15才の女の子(主人公)がまきこまれちゃうんですねぇ・・・ おたのしみに!