人間嘘発見器のヒロインと、先祖帰りのヒーロー
★★★★☆
クレアは嘘を感知する超能力の高レベル者で、その能力ゆえ当然ながら他者との関わりにストレスを感じますが、
彼女なりに割り切った考え方を極めた結果、社会生活には適応しましたが、男女間の信頼関係には抵抗を感じていました。
財界の大物の私生児だと母に知らされた彼女は、異母妹の夫が殺された事から父の家族やその周辺の事件に巻き込まれてしまいます。
ジェイクは 獲物を追い詰める“ハンター”と呼ばれる超能力の高能力者ですが、
特殊であるだけでなく原始的で野蛮な能力ゆえに相手から敬遠される問題を抱えていました。
そんな彼の性行を理解して受け止めてくれるクレアに、初対面から惹きつけられていたジェイクは徐々に悩みから解放されていきます。
(余談・・・クレンツがキャッスル名義で未来を舞台に発表しているパラノーマル・ロマンス
「ゴースト・ハンター・シリーズ」の“ハンター”は別種の超能力ですが、
ハヤカワSF文庫「緑の瞳のアマリリス (ハヤカワ文庫 SF ク 12-1) 」の最終巻にあたる
「Orchid」のヒーロー・レイフは、本書と同じ超能力の“ハンター”でした)
本書のキーワードである ”アーケイン・ソサエティ”とは、超能力者だけの秘密の会員制クラブのようなもので、
AMANDA QUICK(アマンダ・クイック)名義で発表したヒストリカル”Second Sight” から始まったシリーズです。
それぞれ時代などの設定は違い、独立したストーリーですが、秘密結社”アーケイン・ソサエティ”でリンクしています。
本書の登場人物のほとんどが ”アーケイン・ソサエティ”の超能力者ですが、能力を使う場面はさほど無く、
本筋はあくまでも殺人事件に絡んだ謎解きのミステリー・ロマンスでした。
一人称の邦訳に違和感はありましたが、全体として文章は良かったです。