自称”未亡人”のもとに、夫が“生還”してしまい・・・
★★★★☆
女流写真家ヴェネシアは、ゲイブリエルと一夜限りの情事をもつが、一週間後、火事を報じる新聞記事で彼の死を知った。
半年後、未亡人のミセス・ジョーンズと名乗り、ロンドンで写真館を構えたヴェネシアは、たちまち上流社会の注目を浴びる。
ある日、彼女の前に死んだはずの”夫” ゲイブリエル・ジョーンズが―!
ヴェネシアの9歳の弟エドワードとゲイブリエルの会話には、思わず頬がゆるんでしまいます。
邦訳ではエドワードのセリフはたいへん丁寧な言葉遣いになっており、
好奇心旺盛でやんちゃな甘えん坊のキャラが伝わり難くなってしまったのが非常に残念でした。
ヒーローのジョーンズ家とヒロインのミルトン家―どちらも家族の秘密がいろいろあり、最後まで小出しに明かされていきます。
アマンダ作品ですっかりお馴染みになったゴシップ新聞 ”フライング・インテリジェンサー” は、ここでも大活躍。
なお、本作品で初登場した秘密組織”アーケイン・ソサエティ”は、それぞれ時代や舞台設定は違っていて独立したストーリーですが、
アマンダ・クイック名義ヒストリカルだけでなく、
ジェイン・アン・クレンツ名義コンテンポラリー(現在邦訳されているのは許される嘘 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)のみ)や、
ジェイン・キャッスル名義のSFパラノーマルにもリンクしていきます。