「暴力温泉芸者」の名でポップ・ミュージック界に文字通り殴り込みをかけてはノイズの嵐を巻き起こし、その後は文壇の異端児として暴れ回っている中原昌也。対するは、宇多田ヒカルからCHEMISTRYまでのブレーンを務める、名実ともに日本R&B界の最重要人物である松尾潔、フリッパーズ・ギター経由コーネリアスこと小山田圭吾、スイート・ソウルならぬ「甘茶ソウル」の伝道師、テリー・ジョンソン(湯村輝彦)など、これ以上ないくらい濃いメンツである。
テーマにしても、カルト映画の超奇才ジョン・ウォーターズから大島渚、死体写真集もあれば文学論まで飛び出し、果ては勝手に80年代の総括までと縦横無尽。だが、その底には「馬鹿なやつにはモンド系と思わせときゃいい」し、「読む価値なしといわれたい」という姿勢が横たわっている。
「借金だらけで未納が続いている」中原昌也による逆説的な「サクセスの秘密」をあなたはどう読むだろうか。帯にあるとおり、「これであなたも大金持ち!」と首尾よくゆくかどうか、一読する価値はあるだろう。(深澤晴彦)