勉強になる本
★★★★☆
日本のこの20年を、金融やら雇用やら、さまざまなトピックのエポックメイキングなできごとでふりかえっていくという感じの本。「金融ビッグバン」とか「小泉改革」とか「派遣の自由化」とかそうした変化のポイントとなった事件を、いまの視点から総ざらいしてある。それぞれのトピックの後に、関わった人たちが当時をふりかえってのコメントをつけているのも面白い。彼らがよく言っているのは、「いま思っても、ああするしかなかったな……。最善は尽くしたと思うのですが」みたいなこと。批判するのは簡単だけれど、当時から問題が見えている人がいて、多くの人が必死にやってきたけれど、結局いろいろなことがうまくいかなかったという印象。ただし、その必死にやってきた「多くの人」が見えた反面、随所で官僚の保身の論理がさまざまな問題の障害になってきたこともはっきりと浮かび上がって見えた。