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太陽の塔 (新潮文庫)

価格: ¥452
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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   京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。

   2003年のファンタジーノベル大賞を受賞した本書は、読み手をとことん笑わせてくれる抱腹絶倒の物語だ。文体は古風でごつごつした印象を与えるものの、それに慣れるころには一文一文に笑いが止まらなくなり、主人公やその友人たちのとてつもないバカっぷりが愛らしくなるだろう。登場する男は皆個性的で、インパクトの強い変人ばかり。主人公につきまとわれる女子大生も普通ではなく、言葉遣いも行動も完全にズレていて、アニメのキャラクターのようなぶっ飛んだ魅力がある。物語のクライマックスまでたどり着いた読者にはさらなる大混乱が待っている。そのばかばかしさのスケールにとにかく圧倒されるはずだ。

   男的な妄想をテーマにしながらも、読み手の性別を選ばないのも魅力のひとつだ。賞の選考委員である小谷真理に「一番強烈で、一番笑いこけた作品」と言わしめた本書。一歩間違えれば単なるストーカーの独白に終わりかねない設定だが、そんないかがわしい行為ですらジョークに変えるほどの力がこの作品にはある。

   また、ユーモアに満ち満ちた物語の中に、詩的な美しい描写が織り込まれているのにも注目したい。突然そうした穏やかな文章に出会うことで、読み手は台風の目に入ったかのような静けさに包まれ、著者の文体に独特の温かみを感じることができるのだ。ユーモアばかりが注目されるが、そんな絶妙なバランス感覚こそが著者の本当の才能なのかもしれない。(小尾慶一)

唯一無二の「太陽の塔」 ★★★☆☆
妄想と強がりと代償行動にまみれた京大生の青春の物語です。

現代の京都に住む大学生の話なのですが、「ええじゃないか」で「クリスマス」を打倒する
などという現実にはあり得そうもない話や、妄想と現実の境目が時々あいまいで、
作品全体が、主人公あるいは作者が見た夢や妄想ではないかと思ったりしてしまいます。

見どころは、恋愛に関しては負け組の男どもの闘争と会話です。
クリスマスプレゼントに偽装して、大量のゴキブリを送りあうような男どおしの闘争を展開する
かと思えば、京大生狩りにあって逃げ惑う敵を助けたりします。
失恋をしたことをメールで友人知らせたら、「幸福が有限な資源だとすれば、
君の不幸は余剰を1つ生み出した。余剰はもちろん俺がもらう」
というが返事返ってきたりします。
このような男どもの外部との闘争や自己の情念との格闘に、よく読むと、
人生の真実だなよな、と思わせる内容が沢山含まれています。

言葉で説明ができないほどユニークな小説です。
万博会場に残っている建築物の「太陽の塔」と同じように、他に似たような作品がありません。
「太陽の塔」は見てみないことには、どんな作品かわからないと思います。
ぜひ読んでみてください。
とてもユニーク小説ですので、評価は分かれると思います。
男子校生のバイブル ★★★★★
ノイタミナで放送された「四畳半神話体系」で初めて筆者の作品に触れて、本屋で森見登美彦の名前を目にした時、迷わず購入してしまった。
購入したその日のうちに、実は兄が以前に高校の課題図書として読んでいたという奇妙な偶然に直面したが、兄も私と同じく、「男子校生こそ読むべき」という感想を持っていた。自分は久しぶりに他人に読むことを薦めたいと思った。
この本は自宅で読みましょう!! ★★★★★
国際線の長距離フライトで退屈しないよう、成田空港でこの本を買ったのが失敗のもとでした。狭い飛行機の中で文庫本を抱え、顔をヒクヒクさせながら笑いをこらえている中年男(私)の存在は、さぞや周囲からは異様なものに映ったことでしょう。

異性ともごく自然に触れ合える人が当たり前で、そうでない人はおたくとかキモいといった有難くないレッテルを張られかねないこのご時世ですが、主人公に加えてその周囲の人間は、そろいもそろってその極北にいるような人たちばかりです。しかし、私も若いころはそうでしたが、硬派にもなれず軟派でもない、どっちつかずで宙ぶらりん、それでいて自意識だけは異様に高いという人は、今でも案外多いのではないでしょうか。だから、登場人物の妄想暴走ぶりに笑い転げつつも、私を含めた多くの人が、かつての"へもい"自分を思い出しつつ、読後はどこか苦くて甘い気分になったように思います。

p.s.登場人物のモノローグ(特に主人公と飾磨くん)を読んでいて、かつてのうる星やつらのメガネを思い出しました。あの作品が好きな人、あるいは押井守作品が好きな人なら、この作品は最高に面白いでしょう。
森見ワールドですね。 ★★★★★
はじめは、ただの元カノをストーカーする小説家と思いましたが。
やっぱり、この人の作品は独特のものがありますね。
男の妄想、ゴキブリキューブ、ええじゃないかなど、おもしろいです。
好きな人には読んで欲しいです。
森美ワールドの原点。作品としてはいまいちだが、作者の才能を見いだした選者に拍手。 ★★★☆☆
「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」の原点となる作品。森美氏の処女作でファンタジー大賞の受賞作だが、ファンタジーではなくいわゆるもんもんとした大学生活の鬱屈した思いを吐露した私小説的な作品である.後に続く2作のベースは本作でもう出来上がっていて、エンターテイメントとして洗練させたものが、四畳半であり、乙女である.本作はひたすら若さ故の鬱屈した思いが述べられ、ストーリーがなく作品としては今ひとつだが、その独特な文体、および奔放なイマジネーションにあふれており、このようなゴツゴツとした原石のような作品から森見登美彦という作家を発掘した編集者には拍手を送りたい.