ブリヂストンと国産タイヤ業界の発展
★★★★☆
長年ゴム業界紙の記者を務めてきた著者がブリヂストンの創業者である石橋正二郎と
会社の発展期をともに歩んできた柴本重理を軸に時代を追ったエピソードが各々10頁
程度で綴られています。
業界紙のコラムとして載せたものを素材としていることもあり、タイヤ産業界の裏話、
ブリヂストンいかにして現在の地位を築き上げるに到ったかなどの主たるストーリーと、
戦中、戦後などタイヤ業界の転機における各社の栄枯盛衰の一端を窺い知ることが
できます。
本書も日本を代表する企業(トヨタ、ホンダ、ソニー、松下など)の創業者を中心とした
草創期の話を読むと心躍るのと同じ気持ちが湧くのですが、反面、残念に思うのは、
タイヤというある種の特殊な業界において、良くも悪くも業界を知り尽くした著者で
あるだけに、業界に親しんでいない者にとっては知らない言葉や人物が多く、一部
面白さが共有できない面ができてしまうことで、背景をもう少し丁寧に展開して
欲しかったという要望もあります。