面白い論考ばかりです!
★★★★★
性欲に関する8つの論考をまとめたものです。
性欲に関する研究はやはり避けられがちなテーマであり、編者である井上章一さんもまえがきで「学会でのキャリア・アップにはかならずしもつながらない。どちらかというと、否定的に作用する」と書いています。
そこまで目新しい話がたくさん扱われているわけではないですが、後半の「女装男娼」の話と、「人体模倣の不気味の谷」の話は文句無しに面白かったです。とても勉強になりました。
論考集なのでまとまりがあるわけではないですが、どれも面白いものばかりだったので、否定的どころか執筆陣を肯定的に評価したくなる読者の方が圧倒的に多いと思われます。よくぞ書いてくれたなと。
『性欲の文化史2』もあるようなので、是非読みたくなりました。
期待はずれ
★★☆☆☆
レビューを見て期待して買ったが、期待していたものとは言い難い。
論考集ゆえ仕方がないかもしれないがこの著書で初めて知った」というものがほとんど無いのが残念である。
確かに着眼点はいいが、後半の三論文以外ほとんどが「そこからをもう少し深く掘り下げて欲しいのだ」という不満を感じる。
時代も地域も縦横無尽に論じ尽くす、珠玉の論考集 というのは誇大にすぎるといえる。
だが「戦前戦後の女装男娼」、「胎内十月の見せ物」「人体模型」をテーマにした論文においては珠玉の論考集といえよう。
「性」から人間の本質に迫る
★★★★★
インパクトのあるタイトルで、気にはなっていたが、このたび腰をすえて機会を得て読んでみたが、もっと早く読むべきであったといささか後悔した。
隠そうが恥ずかしかろうが、人間の本質は本質である。歴史や世の中を動かしてきたのは「性」に他ならない。タブーをもうけず、知的探究心でずばずばと議論する論文集である。テーマや研究対象は多岐にわたり、一言でまとめるのは難しいが、とにかく刺激的な資料や議論、知見に満ちている。
漠然と我々が抱いていた常識も大きく書き換える知的冒険の試みだ。タイトルだけで毛嫌いせずにぜひ。