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化身

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
Amazon.co.jpで確認
化身:なにかが足らないが稀有な作品 ★★☆☆☆
皮肉ではないし、不幸でもない。それに怪奇でもない。
小説の形をとった体験型の遊具施設だと感じた。

作者は「どす黒いもの」ではなく「美しさ」を描こうと腐心しているし、皮肉な表現を交えつつも常に「前向き」だ。

主人公の執念などは大した事がなく、むしろ達観している。確かに「何か」に身を委ねて化身してゆくが、最終的には元に戻るだけ。立ち去り際も、ちょっとしたアトラクションを楽しんだ後のような雰囲気が漂っている。
実際、最後の一文を「さて、次はどこを楽しもうか?」という言葉に変えても、それほど違和感がない。結局のところ、主人公は、命の摂理・進化を模した「遊具施設」で遊び終えただけ。絶望的な状況ばかりであるのに、その実、主人公の心の内に絶望などどこにもない。変容を冷静に見つめ、受け入れ、利用する。単に「主人公が遊んでいる」感しかない。もし、これを読んで「絶望」を感じるなら、ひどく安い「絶望」だ。生きる糧は、揃ってる。現実世界への執着もないしねぇ。すべてお膳立てされた状況に「絶望」もクソもない。

読後感もジェットコースターや、お化け屋敷となんら変わらない。小説なんてどこかしらそんな物だが、これほど安心感のある物語もない。純粋に異様な状況を楽しめる作品だ。恐怖するような状況を読者に愉快に思わせる、非常に珍しい作品ではないかと思う。選評の「孤高」という言葉もその点でなら、うなずける。

表現が美しかったり、ニヒルだったりするが、最終的には良く出来た異世界を体験して、出口のゲートをくぐってお終いになる。
異様でどこか切羽詰まった状況を「楽しく」読むには最適な物語ではないだろうか。まあ、何がこの「アトラクション」を作ったのか考えるとちょっとばかしホラーにはなる。

ただし、怪異や人間の心理を期待するなら、拍子抜けかな。怖くはないし感動もない。ただひたすら「異様」を体験できる。非常に貴重な作品。

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化身以外は、内容も表現もありきたりで使い古された感が・・・。うーん。とても器用だけど素人小説では?とさえ・・・。
特に3つめは私小説のようで苦痛。全く同じ心理描写が延々と続き、メリハリも無ければ、目立ったエピソードやシーンも無い。
単に辟易するだけで、オチも見えすぎた。期待しただけに落胆も大きい。星2つさげる。
ホラーというより純文学? ★★★☆☆
密林にぽっかり開いた池に落ちてしまったら・・・
この状況は確かに怖い。
そして現代の不安な社会を暗喩しているのだろう。
ただご都合主義的な話の進め方がどうも腑に落ちない。
もっと徹底的にリアルに描いた方が良かったと思うんだけど。
他人の不幸を喜ぶ人間の本質的心理をくすぐる傑作。 ★★★★☆
いい。

自分がほんの少し、少なくとも眠る場所や家族があって、仕事があると
こんな世界は想像しがたいかもしれない。

この本を読んで「自分はまだ幸せな方だ」と感じるならそれもよし。

しかし、本質的に社会との絶縁が信念の疎外と結び付かないところがとてもシニカルな「化身」。
どっこい、「雷魚」がテーマなのか時勢に伴う放任主義家庭がテーマなのか、
とてもノスタルジー溢れる2作め。

疑心暗鬼の対象がやはり人間以外に投影され蝕まれていく3作目。

個人的には、男性なら「雷魚」を。
女性なら依存主義の弱い男の末路を描く3作目「幸せという名のインコ」を。

家や財産や家族を失ったことのないアナタには1作目の「化身」を。

本作には3つの物語が描かれているが、そのどれもが
「違う」結末、すなわち「続き」をアナタが描けるところに素晴らしさが潜んでいる。

なぜなら何を隠そうアナタも他人の不幸が好きなはずだから。

ジンクスを打破した豊かな才能 ★★★★★
 日本ホラー小説大賞受賞作の短編集である。
『玩具修理者』の小林泰三、『ぼっけえ、きょうてえ』の岩井志麻子等を輩出している同賞であるが、受賞作品の傾向が徐々に変わってきているように見える。以前はストーリー性を重視した(映画化しやすい)ホラーが多かったが、最近の受賞作は文体の個性が際立っているものが多い。エンターテインメント系の作品から純文学系の作品へとシフトしているように思われるが、これが出版社側の意向なのか時代の流れなのかは分からない。
 本書冒頭に収められた大賞受賞作「化身」(原題は「ヤゴ」)も、その魅力はストーリーよりも圧倒的な描写力にあると言える。異常な状況設定から始まり、限定された空間内で繰り広げられる悪夢の世界に、読者を引きずり込んで離そうとしないのは、著者の筆力に裏打ちされたリアリティであろう。空想だけでこれだけの描写ができるのは紛れもない才能である。
 ただし個人的には三作目の「幸せという名のインコ」が最も好きである。こちらは描写よりもストーリーを重視した作品で、余韻を残す終わり方も上品である。純文学もエンターテインメントもどちらでも書ける著者の、新人離れした力量がうかがえる。
 蛇足ではあるが、昨年に引き続き大賞が出た意義も大きい。同賞は今まで二年に一度しか大賞受賞作が出ない(出さない?)ことで有名であった。ジンクスだか方針だかは分からないが、これが取り払われたことは応募する側にとっても読者側にとっても喜ばしい。取り払った著者の今後の活躍に期待したい。
う-ん。 ★☆☆☆☆
はっきり言えば、つまらなかったです。
主人公の感情も伝わらなかったし怖さもわからなかったです。
人間が主人公だけなので、もっと心情やその人の恐怖を表わさないと共感できない気がしました。
ラストも「で?」って感じです。